ドラゴンクエスト7


5年という長き眠りから目覚めたゲーム界の帝王。
PSの終焉を飾ったドラクエ最新作とは。

 ドラクエ7と言えば、フリーズ問題を語らないわけには行かないのですが、私のPS2では、1回しかフリーズしなかったので、何ともコメントのしようがありません。

 世の中には、数十回フリーズされた方も居たようですが、そういった方は、本当にご愁傷様でした。


 さて、主人公の住む島は、世界に唯一浮かぶ小さな島です。

 しかし、それは、他の島を魔王が封印してしまったためで、それを知った主人公達は、世界を元の姿に戻すために必要となる石版を

 探すために、過去と現代を旅して回ります。

 石版を禁断の地にある台座へとはめ込むと、石版が示す島の過去の世界へと飛ばされます。

 そこで、島が封印されてしまった要因=敵を倒す事によって、現代に島が復活するのです。

 というのが、簡単な粗筋なわけですが、この本を見た人で知らない人も居ないと思いますので、細かい話は割愛します。


 プレイした方は、お分かりだと思いますが、ドラゴンクエスト7(以下、ドラクエ7)は、『男』のしかも『大人』のためのゲームです。

 ドラクエ3にて一瞬だけ存在した、『主人公の性別を男女から選べる』という試みですが、以後は、一切採用されていません。
 (注:間違いです。ドラクエ4でも採用されてました。 ご指摘があったので、訂正です)

 これは、容量の問題とか、女性ユーザーが少ないからとかいう事ではなく、ドラクエが『男の物語』を描こうとしているからでしょう。

 当然、ドラクエ7でも、主人公は『男の子』です。


 物語の初期、主人公は、友人であるキーファ王子と、女友達のマリベルで、3人パーティを作ります。

 一見、『主人公とキーファ』と『主人公とマリベル』の関係は、相手が男と女の違いだけと思いがちですが、全く違います。


 物語の軸となるのは、『主人公とキーファ』の関係で、『主人公とマリベル』の関係が発展する事はありません。

 通常のRPGですと、『LOVE』に重点を置いたり、『LOVE』と『男の友情』を同列に扱いがちですが、ドラクエ7は『男の友情』に重点を置き、物語の全ては、『男の友情』を起点とし、『男の友情』に帰結するのです。

 まぁ、世の中には、『男の友情』を主眼として作成されたアレなゲーム(例 超兄貴)もありますが、それらとドラクエ7が同じと言ってるわけではありませんので、念の為。


 キーファ王子は、主人公を冒険へと誘い、自らの生きる道を見つけた際には躊躇無くパーティを抜けていってしまいます。

 正直、私もこれには驚きました。

 幾多のRPGを見てきましたが、NPCではなく、初期パーティの、どう考えても重要そうな人物が、プレイ開始20時間以上もたって、死なずにパーティーを抜けるとは!

 この行動が、ドラクエ7の物語を後々、彩っていくわけなんですが、キーファ王子関連のお話は、過小な描写と、ゲームプレイ時間の問題で、かなりボヤケた印象しか残さないのが残念な所です。

 物語の構成上、キーファ王子がパーティから抜けるのが、もう少し遅くても良かったと思います。

 このキーファ王子との友情を真の意味で感じる事が出来るのは、それなりの人生経験を積んだ男性だけでしょう。

 けっして女性蔑視というわけではないです。

 例えば、男性が『母性本能』という物を理解した気になったとしても、おそらく真の理解に至る事は永久にありえないというような次元の問題です。


 『大人』のためのゲームと前述しましたが、これにも、幾つかの理由があります。

 まず、キーファ王子との友情物語を理解出来るのは、やはり中学生くらいの年齢では、厳しいのではないかと思います。

 そもそも、副題である『エデンの戦士たち』の意味がゲームを解いた後でも、分からないでしょう。


 『エデン』=『地上の楽園』で楽しく過ごしていたアダムとイブが、禁断の実を食べた事によって知恵を身に付けたため、楽園を追われたという聖書(だったか?)のお話があります。

 ドラクエ7においては、まさしく主人公達の住んでいた島(世界にただ一つの島)こそが、『エデン』であり、そこから外の世界へと旅だった主人公達は、島には存在しなかった、人間達の暗部を見聞きする事になります。


 過去の世界で出会う人々は、かなり嫌な奴らばかりです。

 単純な悪党というわけではありません。

 というか、悪党の方がまだマシです。

 例えば、モンスターの退治を一人の人間に押しつけようとする村民達とか、無実の人間をいたぶっておいてナアナアで済まそうとする村民達とか、外見がちょっとだけ違う人を忌避してる村民達とか、宗教に走って自分達でどうにかしようとしない村民達とか。


 なにがやりきれないかというと、過去のそういったどうしようも無い村の問題を、主人公達が物事を解決したとします。

 で、晴れて現代に島が蘇るんですが、そこには、問題の村が存在し、子孫が暮らしてたりするのですが、大抵は、自分達の都合が良いように歴史が改変してあります。

 非常に気分が悪いです。

 で、次の村の問題を解決すると、また、歴史の改変を目の当たりにして・・・

 という事が、かなり何度も続きます。


 『かくも人間というのは、どうしようもない生き物なのに、そんな人間達のために、世界の封印を解く事が本当に意味があるのか?』といったテーマもあったりするんでしょうが、あいかわらず、過小な描写なんで、プレイヤーは想像力を駆使しなければなりません。

 私が想像力を駆使しすぎて、妄想を言ってるような気がしないでもないですが、その辺は、皆さん、ご自分でプレイして、ご判断下さい。



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