人 形


子供の頃には妹と人形遊びをよくしていました。

人形遊びには世界観が必要になります。非日常のファンタジックな世界の構築。

私のストーリー創りの源は、ここにあるように思います。

NHKテレビの人形劇も好きでした。

ヒョウタン島にねこじゃら市、新八犬伝…子供心を踊らせてくれましたが、

でも最高傑作はプリンプリン物語です。この頃は私も大学生でした。

脚本の楽しさ、ミュージカル風の名曲の数々。確かな思想と鋭い風刺性。

友永紹三の個性的な人形たちが魅力的に動き回っていました。

数年後に友永氏の人形展を見て、劇用とは違う造形美に感動しました。

市松人形への興味は、やはり内田善美の漫画「草迷宮」から。

子供の無垢な魂を持って動き回る人形「ネコ」には、

人間も人形も猫も、生も死もすべてが同列の世界観がありました。

球体関節人形をはじめて見たのは、四谷シモンのものだったでしょうか。

映画「パイレーツによろしく」の中に使われていた美少女人形は、

破滅的に展開していくストーリーの象徴的な存在でした。

いよいよのめりこんだのは、吉田良一氏の人形CD-ROMを見てからです。

この世に形として存在する、究極の美少女。

老いることのないその美しさの前では、魂なんてちっぽけなものです。

そう思ってから、私の描く少女から感情が消え、人形化していきました。

小説も書きました。

最終的には、自分で造ることが目標です。

絵で表現してきた少女の姿を三次元の世界に存在させること。

しかしこれがなかなかに難しいので、買ってある粘土も使わないままです。

インターネットでは人形を造っているひとたちのホームページも多く、

皆さんの作品を見て回るのが楽しみの一つです。