宮沢賢治ゆかりの地を辿り歩くうちに、いつしか賢治の生き方とか作品世界とかがクロスオーバーして現実から遊離しはじめるという紀行的小説、かなぁ。知らなかった賢治の側面がわかるし、なによりその場所に行ってみたくなる素敵な本であると同時に、画家であり作家である作者がとらえた賢治の人物像の深さには、強い感銘を受けます。でもそれ以前に、やっぱり司自身の生き方が出ているから面白いんだよなぁ。
私は昨夏に花巻へ行きましたが、先にこの本を読んでいればもっと楽しかったと思います。宮沢賢治の生きた場所であると同時に、司修が旅した場所ということで、私にとってはまた一段と意味が増したはずですから。思えば私が以前に何度か新潟に行ったのも、司の本の影響があったのでしたし…。 |