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 君が空を見上げるとき

きみが空を見上げるとき、
ぼくはきみに、嫉妬せずにはいられない。

その瞳に宿る意志、
握り締めた拳がしめす勇気、
足場を探る足が見せる畏怖で、

きみがまだぼくらの神々への挑戦を諦めていないことを知ってしまうから。

ぼくはきみに嫉妬せずにはいられない。

 

君が、肩を落として地を眺めるとき、
ぼくはきみに、嫉妬せずにはいられない。

その瞳が宿す絶望、
口惜しさに打ち震える肩、
負け
を認める足の運び、

敗北を受け止めるという辛い行為と、きみが敢えて戦おうとしていることを知ってしまうから。

ぼくはきみに嫉妬せずにはいられない。

 

そして、きみが、再び空を見上げるとき。
ぼくはきみに嫉妬せずにはいられない。

きみがまた一歩、ぼくらが望んでいた神々の世界に、歩みを進めてしまうのが判っているから。

肩に担いだ頼りないザイルと、
決して恵まれたとはいえないその体躯で、

汗を流し、意志を燃やして、歩みを進めるきみの姿。

いつかは、その心は、神々に届くに違いない。
きみの時間に、きみの前に、きみの神々が、きみの為だけの道を開くだろう。

誰が、この事実の前に、嫉妬せずにいられるだろうか?

 

 

 

  寺山と同じ名を持つ君に捧ぐ。