殺人者志願
最近、殺人事件が多い。しかも故意的な奴がかなりの割合で。
別に、誰が何処で殺されてようが、僕は何とも思わないし、僕がその対象だったとしても、
一つの望みさえかなうのであれば、それも構いやしない。
でも、殺す側にまわるのだけは、何とか避けたい。
たとえ、それが事故だとしても。
勘違いされないうちに書いておくけど、
僕は自分も含めて人の命なんてクソだと思ってるし、
殺人だってバンバンやればいいと思ってる。
法を犯すということも別に恐くはないし、
必要があれば、刑罰ぐらいは受けてもいい。
でも、罪を犯すということ、それだけはゴメンだ。
社会と生命の両面において、僕らは殺人を禁忌として認識させられている。
前者は歴史的な道徳として、そして後者は種の保存という命題として、僕らを縛る。
二重の禁忌を犯す勇気、そんなもんは僕には無い。
きっと想像を絶する苦しみだと思う。
人間として、また、生物として定められた最大の罪を犯す代償は。
それを赤の他人のために自分が受けなきゃいけなくなる。
耐えらんねぇよ、そんな不条理。
僕が人付き合いを嫌っているのも、その辺が原因の一つ。
彼らに何かをしてしまった時に、その債務を抱えてしまうのが嫌。
だから、かなり傲慢な言い方だけど、僕は友人を選ぶ。
「こいつなら殺してもいいや」と思える相手。
それが友人を選ぶ条件。
万が一、そいつを殺したり、死に追い込むようなことがあったとしても、
その罪を一生背負って生きていくことを甘受できる、甘受しなくてはならない、相手。
殺してくれ、と頼まれれば、わかった、と答えて殺せる相手。
周りのみんなにとっても、僕がそんな存在であってくれれば、とても嬉しい。
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