エルネスト・チェ・ゲバラ

「おまえ、これ、読んだことあるか?」
ゼミの先輩が投げて寄越した、くたびれきってしまった一冊の本、
「ゲバラ日記」が、彼を知るきっかけ。 彼の「別れの手紙」に僕は涙した。

これが解らなきゃ、男じゃない。それ以前に、ヒトじゃない

生まれながらにしてのキューバ人

彼は一人の情熱的な詩人であったと僕は思う。
その人生を賭して、一節のロマンスを創造した詩人。

情熱を表現する為に、彼は戦い、学び、働いた。
それは誰もが認めざるを得ない事。

彼の行動の善悪や、フィデルとの確執の有無など、今の僕には興味のない事。
そんなことは学者やえせ共産主義者に任せておけばいい。

革命=情熱、革命=勝利か死か、大事なのはその部分だけ。

多分、革命という言葉すら、彼にとっては重要ではなかった筈。
情熱を傾けたもの、生死を賭けたもの、それが共産主義であり革命であった、
ただ、それだけ。

僕は、そんなふうに考えている。

彼を知り、一年も経たないウチに「ゲバラブーム」がやってきた。
街の中にはゲバラTシャツを来たスイカ頭な連中が闊歩して、
メディアには意味も無く彼の肖像が映し出されている。

エセブームのおかげで、
いくつかの資料を入手しやすくなった事には感謝しているが、
彼らはゲバラの何を知っているのだろうか?

彼の日記を読み、戦う事を決意した人間以外に、彼の肖像を纏う資格がある筈はない。

ブームが早々に過ぎ去った事がたまらなく嬉しい。そして少しだけ悔しい。