ビッグ

映画好きになった原点がこれ。
コメディとしてもラブストーリーとしても、凄くよく出来た映画だと思う。

背が低い事に劣等感を抱いていた少年が、
夏祭で設置されていた占いの器械に「大きくなりたい」と願ったら、
体だけ大人になってしまったというメルヘン。

これを見た当時の僕も背が低かったから、その辺で親近感を持ったのかもしれない。

ジョッシュ役のトム・ハンクスが本当にいい演技をしてる。
特に親友ビリーに自分の事を分かってもらう為に、
必死でおふざけをして見せるところが最高にうまかった。
(その必死さと、ビリーがそれをジョッシュだと気付いた事がわかったときの安堵の表情!)
困惑した表情や喜んでいる様が、本当に子供そのもので、
見る側に違和感を与えなかった。

この頃のトム・ハンクスは結構好きだったのだが、年々嫌いになっていく。
演技は今見てもうまいと思えるから、配役のせいなのかな。

なんか、役者が必要とされていない映画に出過ぎなんだ、きっと。

脚本もカメラも申し分なし。
随所に見られる細かな笑いと、何ともいえない「いい色」の画面。
本当によく考えて作られた映画だと思う。

何といっても、あのピアノの上で踊るシーンは忘れられない。
きっとこのシーンがやりたかったからこの映画を作ったに違いない。

当時はトム・ハンクスしか見てなかったのだが、いま見返してみると、
社長役の人がとてもいい。
(この人も好きな役者なんだけど、いつも名前が出てこない)
踊りの形も凄くいいし、高齢者が遊び心を出しているときの演技が凄い。

ラストのシーンも凄く気に入ってる。
額へのキス(!)から別れのシーンへ。

ここでもトム・ハンクスの演技がいい。
寂しがる子供の表情をうまく表現してた。

相手役の女優の諦めた表情から走り去る車の風景で幕。

一番好きな映画は?と聞かれれば、間違いなくこれ。
お約束になるまで見たけれど、それでも未だに面白い。