名古屋市消防局DIGマニュアル  PDFファイル377Kb

1・災害図上訓練(DIG)とは

 災害図上訓練とは、地域で大きな災害が発生した場合を想定し、地図への書き込みを通して、参加者全員が主人公となり、積極的に災害の対応策を考えることができる防災訓練です。
  この災害図上訓練は、平成9年に三重県地域振興部消防防災課、防衛庁防衛研究所、防災ボランティア団体の官・学・民が一体となって産み出した防災トレーニングプログラム「災害図上訓練DIG」を参考としたものであり、地図と透明シートを用いて書き込みを加えながら行うことを基本としています。
2・災害図上訓練導入の目的

  「自主防災組織」の災害対応能力の向上を図るため、リーダー講習を中心とした訓練等に災害図上訓練を導入し、地震や風水害、放火など市民生活の安全を脅かす出来事が発生した時に、地域にどのような被害が発生し、どのような対応をとればよいかなど考える機会を提供するものです。これにより、安全なまちづくりの課題や目標を明確にすることを目的としています。

DIGとは、Disaster(災害)、 Imagination(想像)、 Game(ゲーム)の頭文字をとって名付けられたものです。

 
3・災害図上訓練の4つの特徴

(1)簡単・容易
  @準備が簡単で経費が安価である。
  A自由なアレンジが可能である。
  B普及が容易である。
(2)地図に「思い」を
  @地図との「対話」ができる。
  A被害状況がリアルに判る。
  B「地図への書き込み」を通して災害について考えることがで
   きる。
(3)「我がまち」再発見
  @「我がまち」に起こりうる災害を知る。
  A「我がまち」の災害に対する弱さを知る。
  B「我がまち」の防災力の源泉を知る。
(4)全員参加
  @参加者一人ひとりが主役になることができる。
  A個人でできること、できないことが判る。
  B役割分担がイメージできる。
 
4・災害図上訓練のスケジュール
  スケジュール 所要時間(目安)
@ ガイダンス 5分
A グループ分け 5分
B ビデオ上映等 10分
C 災害想定の発表 5分
D 被害地図への書き込み 9分
E 災害状況の付与 20分
F 成果発表 40分
G フリートークおよびまとめ 20分
   

2時間以内

 
 
5・準備
1)会場準備品
@ 進行役の机1脚
A 6〜10人が座れる机の島(約30人の場合3〜5)
B ホワイトボードまたは黒板
C マイク(拡声器)
D 災害想定カード
E 災害状況カード
2)机上準備品
@ 地図(基本図)
A 透明シート
B 油性フェルトペン(8色)
C 付箋(大および中)
D 名札(全員につける)
 
6・災害図上訓練の進行
@ガイダンス(5分)
・「災害図上訓練」についての概略を説明する。
・誰もが主人公として積極的に参加できることを説明する。
・真剣かつゲーム感覚で気軽にできることを説明する。

Aグループ分け(5分)
・グループに00班などの役割を付与しない。
・リーダー・サブリーダーをグループ内で決定し、グループ
 内の対応策のリードをしてもらう。
・記録係を決定し、成果発表の準備をしてもらう。
・近隣同志でグループ分けをする。

Bビデオ上映等(10分)
・震災・風水害関係のビデオ上映及びパワーポイント使用に
 よる写真・イラストにより、危機意識・臨場感を高める。
・その他、リアリティの工夫を行い、雰囲気作りを行う

C災害想定の発表(5分)
・訓練実施の必須項目であり、正確な内容とすること。
・口頭で発表し、危機意識を高めるとともに、「災害想定
 カード」を各グループに配布する。
・必要に応じて、ホワイトボード等に掲示する。

D被害の地図への書き込み(20分)
・「想像力」を膨らませ、考えられる被害を自由に書き込
 んでもらう。
・難しく考えずに失敗を恐れず、「とにかく書き込み」を前
 提とするように促進する。
・一人一本「フェルトペン」を持つ姿勢から始まることの
 雰囲気作りを行う

E災害状況の付与(40分)
・おおよそ5分〜10分間隔で口頭で発表するとともに、
 「災害状況カード」を各グループに配付する。
・刻々と変化する状況を緊迫感の中でリアルに伝えること
 に配慮する。
・2〜4個の状況付与が適当であり、地図への書き込み、議論
 の時間を十分取れるよう適当なタイミングを計る。

F成果発表(20分)
・グループのリーダーは、話し合われた対応策・内容について
 発表する。
・各グループ5分程度で発表する。
・対応を評価・採点するようなコメンテーターは置かない。
・地域防災力の課題・目標を明確にすることが重要である
 ことを説明し、進行する。

Gフリートーク及びまとめ(15分)
・自由な議論を求め、参加者同志の議論を促進する。
・まとめについては、グループが行った対応策を採点するよ
 うな講評は避け、感想及び今後の課題について講話し、
 本訓練の継続性を促進する
※進行上の留意点
 @時間は目安としての設定であり、進行状況に応じて変動す
  ること。
 A訓練総時間が2時間を越えると緊張感が欠如するので、時間
  配分に注意すること。
 B訓練中の参加者からの質問については、最低限の回答とし、
  参加者自身が考えることを念頭におくこと。
 C参加者の自主性、議論を最優先に考えて、進行するように
  配慮すること。