9月2日〜9日 北海道タンデムツーリング
1日目 ホッカイダーへの出発
2日目 小樽から上富良野
3日目 上富良野からサロマ湖
4日目 サロマ湖から釧路湿原
5日目 雨の釧路からオホーツク海、そして興部へ
6日目 興部から最北端、そして羽幌へ
7日目 愉しかった羽幌から苫小牧へ
8日目 番外編
2000年9月2日(土曜日) 1日目 ホッカイダーへの出発
午前3時。目覚ましは鳴った。
完全にゴルフ親父の乗りで、こんな深夜に起きても直ぐに目が覚める。
それは待ちに待ったホッカイダーツーリングであるからに他ならない。
午前4時に出発。
関越で一路新潟を目指す...といっても仕事の業務集中で毎日4時間しか眠っていない日が続き
とても一気走りは無理だ。
途中数回の休憩と仮眠を取りながら走行する。
小千谷では雨というラジオの天気予報を聞く。
しかしここ所沢はきれいな朝焼けと日の出で、雨が降る気がしてこない。
関越トンネルを越えると雨か...と思いきや、これまた晴れている。
そのまま新潟に到着。
相当運がいいとしか思えないなあ。
フェリー乗場に着いた。
手続きをしようと思っていたら、お〜〜〜〜〜。
シャワーのような雨だ!
やっぱり運が良かったことを認めることにしよう。
大宮から新幹線で来た家内のHiromiとは、このフェリー乗場で合流し、直ぐに乗船する。
新日本海フェリーの船は比較的新しいので、設備には満足。
出航を見るために、船内のプロムナードデッキの席を確保する。
新潟港を予定とおり出航するが、今日はあいにくの強風。
日本海とは思えない荒天のようだ。
案の定、湾を出ると大きなローリングとなり、船に弱いhiromiはダウン。
夕食のレストランもローリングがひどく、営業できないそうだ。
楽しみにしていた夕食は、船内販売の弁当に変わっていた。
揺れは小樽港に入港するまで一昼夜続いた。
本日の走行:313km オドメーター:18340km
2000年9月3日(日曜日)2日目 小樽から上富良野
午前3時30分に起きる。
フェリーは4時過ぎに着く予定だが、荒天のために遅れ、オートバイの下船ができたのは6時近かった。
でもそれがちょうど良く、既に空は明るくなっていた。
折角の小樽であるが、時間の関係ですぐに国道231を北上する。
昨日まで豪雨のようだった北海道だが、小樽に到着した時には雨も上がり、回復に向かっていた。
Hobby Worldの北海道支部のような”ほろごんさん”の住んでいるという街まで一気に走り、東に変針して目指すは「明日萌」だ。あの映画「すずらん」の舞台となった駅。映画のメーキング番組を見ていたので、その駅に到着すると懐かしいという印象があった。実際には留萌本線に実在する「えびしま駅」と、駅前の街をセット仕様に飾って撮影された。
行った時にもまだそのセットが観光用に残されていた。
萌ちゃんの座っていた駅舎のベンチに座り、記念撮影。
まるで昔に戻ってしまったような錯覚に陥る。
駅長の席は、なぜか小学校時代のこわい先生を思い出すような威厳を保って、そこに鎮座していた。
あの映画「すずらん」の世界が、ここには実在しているかの様にリアルなのは、何が本物で、何が架空なのか、私から判断力を奪ってしまうに十分な迫力だった。この街に居れば、あの昔の時に浸っていられる....
さあ、現実の世界に戻らなければ。
去ろうとした時、あと2時間でSLすずらん号が来ることを知った。
私の心はいよいよ穏やかで無くなった。
それは私が6歳の頃、父と一緒に旅した時に乗ったSLのことを思い出したからなのだろうか。
午前10時20分、明日萌駅を去る。
すぐ側にある「萌の丘」に登り、美しい景色に浸る。
深川を経由して旭川へ行く。
小樽では曇りだったのに、旭川では晴れてきて暖かくなる。湿度が低いので快適だ。
ラーメン村で昼食。
国道237号で「美瑛」の文字が目に入る。
心がときめく美瑛の名前に思わず笑顔となるのは、私だけではないはず。
案内板に従って「パッチワークの路」へ。
昨年も来ているケンとメリーの木、セブンスターの木を再び快晴の中で見ることが出来て幸せだ。
タンデムで来て、ハーレーの旅の楽しさを少しは伝えることができただろうと思う。
高速を一切使わずに長距離の旅が出来る北海道は、タンデムライダーにこそもっと薦めたい。
美馬牛にある旅人宿「Mr.Gnu(ミスター・ヌー)」には予定よりも少し早く到着し、風呂に入ってゆっくり休む。
ここの夕食は、量も多く旨いので気に入っている。
オーナー夫妻がライダーなので、宿泊客の殆どはライダーだ。
夕食後にある会費制の懇親会に出ようと思ったのに、疲れてそのまま眠ってしまった。
本日の走行:325km オドメーター:18665km
2000年9月4日(月曜日) 上富良野からサロマ湖
上富良野で迎える朝は実に気分がいい。
丘の上に建つ旅人宿のミスター・ヌーだからまた格別だ。清々しい。
朝食をとっている間にすっかり晴れあがり、気温も上昇してくる。
出発前に、宿の前でライダー達が記念撮影をする。
そう、ここのお客はほとんどがライダーなので、みんな自分のバイクと一緒に撮影する。
我々も準備を済ませ出発する。
一緒に宿泊した中に、素敵なライダーカップルがいた。
オフ車をレンタルして走ってきたそうだ。
昨日走った美瑛の丘をもう一度走ろう。
そう考え、朝の美瑛に入っていった。
眺めのいいロケーションを探し、愛馬を停止。
後ろに見える山々が爽やかに感じる。
ああ、やっぱり美瑛は好きだ。
さあ、美瑛を去る時が来た。
旭川市街をバイパスして同道140号で愛別町に抜ける。
これで時間稼ぎができた。
ここからはサロマ湖へ向かい、東に針路をとる。
国道273号〜333号を通るつもりだったが、分岐をうっかりして層雲峡に着く。
地図ではこちらも国道273号で、その続きが39号。
紛らわしいので分からなかったが、具合のいいことに流星の滝、銀河の滝を見つけて観光する。
石北峠を通り、留辺蘂(るべしべ)に入る。
この国道39号は通称北見国道という。
なんだか自分達のための道路のようだ。
留辺蘂からは北上し、同道103号、留辺蘂浜佐呂間線でサロマ湖畔へ。
さあ、大きな湖、サロマ湖が見える。
もう夕日がサロマ湖に落ちようとしている。
午後5時40分、今日の宿泊先「船長の家」に予定とおり到着。
一休みしてからカニづくしの夕食が始まり、堪能する。
ああ、ここに来てやっぱり良かった。
タンデムのhiromiはかなり疲れた様子だ。
あと1日、釧路まで頑張って貰わなければ。
本日の走行:239km オドメーター:18907km
2000年9月5日(火曜日) サロマ湖から釧路湿原
朝、窓の外は快晴だ。
ここ船長の家では、朝食も旨い!
食べ終わってから宿の周りを散策する。
数人のネイキッドマシンに乗るライダー達が出発の支度をしている。
我々も準備を済ませ、いざ出陣。
サロマ湖畔で記念撮影し、登呂を経由して南下し、北見駅を目指す。
途中で北見名水公園があるので止まってみると、そこには「北見ハッカ御殿」とある。
木造の大きな家は、ここが世界の7割の天然ハッカの産地だった頃に建てられたものだった。
世界シェアーの7割、それは信じられないような数字だ。
しばし昔にタイムスリップ気分を味わう。
時刻は昼前。北見駅に到着。
昨年来たときに北見駅で食べた名物ホタテ弁当を買うことが出来た。
駅構内の売店のおばさんも、昨年私が来たことを覚えていて、今年は二人ということを喜んでいた。なんだか覚えていてくれることが嬉しい。
北見駅で記念のオレンジカードを買い、美幌に向かった。
天気がいいこともあって、気温は高くかなり暑い。
しかし美幌から美幌峠までくると、快晴ではあるが爽快に変わる。
峠の展望台に上がると、以前に見た屈斜路湖の絶景!
お〜〜〜〜〜い、と叫びたくなる景色ではないか。
今回のタンデムツーリングのポイントでもあるこの景色に我ながら満足する。
去りたくない...そんな気持ちになる場所だ。
峠を下り、屈斜路湖畔の和琴キャンプ場付近まで行く。
ここにはTakaさん、スプさんが隠したお宝がある。
昨年は見つからなかったので、何が何でも探すぞと時間を掛ける。
あ、あった!
そのお宝には、今回来たことを示すサインを加えた。
ここから釧路までは国道391号だ。
一本道で釧路湿原まで急いだ。
夕刻までに到着して湿原を見たい。
しかし道路はよく流れる。
問題無くJRの釧路湿原駅付近の細岡展望台に。
この展望台までは、最後に若干のジャリダートがあるが、何とかなるので是非行くといい。
湿原展望台までは駐車場から徒歩で8分。
写真で見たことのある釧路川の流れる景色が眼下に望むことができた。
これが観光ポイント最後となり、市内を経由して釧路空港へ。
hiromiはここで私と別れ、釧路発の羽田行きに乗る。
どうもありがとう。
私は釧路駅から約2km南にある、とほ宿「休坂」に行った。
ここは、まるで昔よく見かけた木造アパートのような建物。
オーナーの都合で、素泊まりだけになっている。
途中で夕食を済ませて到着するが、まず風呂にに行って来いという。
風呂は無く、徒歩7〜8分のところにある銭湯だ。
まあ、市内だしいいか...でも遠いな銭湯まで。
帰ると1階ではみんな出来上がっている。
お酒を北海道だけで買える、「ソフト・カツゲン」というヤクルトかカルピスみたいな飲み物で割って飲んでいる。何とも不思議な飲み物だ。
みんな友達みたいで楽しい時間が過ぎて行く。
今晩から一人旅だ。
本日の走行:298km オドメーター:19205km
2000年9月6日(水曜日)雨の釧路からオホーツク海、そして興部へ
釧路市内のとほ宿での朝、雨の音で目が覚める。ガッカリする。
出発前からの雨、それもかなり強い。
このまま釧路に連泊するという選択肢もあった。
策や泊まっていた多くのチャリダー達は今日も連泊するようだ。
昼間の釧路をみんなで歩くのも悪くない気がした。が、私は走ることを選んだ。
そう、今年こそ稚内を目指したいからに他ならない。
愛馬も走ることを私に要求しているように見える。
雨の中もローライダーと一緒に走れば愉しいものさ。
まだ眠っている同室の人を起こさないようにして出発の準備をする。
午前8時40分、ローライダーのイグニッションをONにする。
既に起きている数人が窓から手を振ってくれる。
夕べ、あの陽気だった人、名前も聞いていないけど、笑顔で見送ってくれた。
なんだか、あの人にはまた逢いたいなあ....
今日の最初の目的地は、釧路駅前の「和商市場」。
うに、いくら、たらこで勝手丼1500円也を注文。
朝から満足の北海の幸に顔もほころぶ。
同道53号を北上して弟子屈町へ出てから昨日通った屈斜路湖まで一気に走る。
美幌峠を登るが、視界100m以下の中で、あの美しかった屈斜路湖が見えるはずもない。
観光客が多かった、あの昨日の午後を思い出すと、淋しい思いが胸をよぎる。
佐呂間からオホーツク海に出て、海沿いを北に向かう。
最北端を目指す時の「北」という響きは、いつもと違う言葉のようだ。
今日泊まりたい宿に電話するが、つながらない。
とほ宿「ひなた母校」は、素泊まりのみならOKというので、ここに決める。
オホーツク沿いの街には、その昔、国鉄時代に鉄道が走っていた。
今は赤字路線廃止の影響で、ほとんどが廃線となり、消えて行った。
今では、それを記念してあちこちの街に鉄道記念館が残る。
道の駅と兼ねているものもあり、立ち寄ると、何か物悲しい。
雨の中、何枚かの写真を撮り、「ひなた母校」についたのは午後5時30分頃だった。
ここは興部(おこっぺ)という知名。淋しい田舎街だが、ここにも昔は国鉄がディーゼル車を走らせていた。
本日の走行:315km オドメーター:19520km
木造の中学校校舎で目を覚ますというのも不思議な気分だ。
教室の床はギイギイと音を立てる。
そういえば私の小学校は木造だったなあ。
支度を済ませ、外を見ると雨はすっかり上がっている。
興部は山の中にある街。
両側に山を見ながら、またオホーツク海まで戻る。
国道238号を時速xxkmで今日も北へ向かう。
途中、ちょっとだけ降ったものの、おおむね曇りから晴れの快適な天候。
途中、携帯電話のi−mode掲示板で、仲間からの伝言や、ガス欠注意の情報を見る。
参考にしながら、タイムリーな給油と休憩をする。
こちらの海側は、左が山、右が海となる。
そのまま宗谷岬まで走り、到着。
日本最北端までローライダーで来られたことに感慨を覚える。
記念のお土産を買い、今度は稚内に向かおう。
すぐこそにある稚内空港の横を走行中、ANA便が到着した。
ここでは乗っている人がみんな仲間に感じるのは、そこが北海道だからだろうか?
稚内駅の周辺を少し走り、ホタテラーメンを食す。
日本最北端のJR駅の表示を見つけ、記念撮影する。
天気がいいので、今日はチャリダーも多く見かける。お互いにVサインで挨拶。清々しい。
さあ、ここからは南しか無い。
野寒布岬を回り、日本海側へ抜ける。
オホーツクとは全く異なり、山が無くなった。
そう、サロベツ原野だ。
広大、壮大...そんな言葉しか思い浮かばない場所。
原野の真中にある展望台を見つけ登ってみる。
高さは30m程あるだろうか。
上からは原野と川が360度見渡せるようになっていた。
なぜか、宇宙船で知らない星にでも降りたような錯覚を感じる。
ここはどこなんだろう...
同道106号、稚内天塩線は、電柱もガードレールも無い直線道路。
ま〜〜〜〜〜っすぐというのを感じる。
今日の宿泊場所、羽幌のとほ宿「吉里吉里」に到着。
丁度夕日の綺麗な時間なので、宿で教えられた夕日鑑賞ポイントに寄ってからチェックイン。
旨い夕食、人のいいオーナー夫妻、感じのいいお客。
この宿は居心地がいい。
夕食後、みんな集まってお酒を飲みながら愉しい時間が過ぎて行く。
この旅初めての女性ライダーと一緒になった。
ここに3連泊している人もいた。
こんなのんびりとした時間が、いつまでも流れているといいのになあ...
本日の走行:385km オドメーター:19905km
吉里吉里はとても気に入った。今朝もあたたかい朝食、パンは食べ放題。コーヒーも沢山ある。
今日のコースを考えながら地図を見る。
天気もいいようなので、海沿いを走ることにした。
出発前に、吉里吉里のライダー年鑑に載る写真を撮影していただいた。
今度来る時のいい記念になることだろう。
みんな順に出発する。稚内を人もいれば、南に向かう人もいる。
南下する私に不思議なものが見えた。
にしん番屋。
昭和30年頃まで、このあたりではにしんが獲れたそうだ。
その漁師を泊めていた大きな木造の建物。
今ではにしんが獲れなくなり、建物は重要文化財として保存されている。
さらに南下すると、ましけという町に着く。
ちょっとわき道に入ると、木造2階建ての小学校があった。
こんな学校がまだ現役で使われているんだ...
おまけに体育館も木造じゃないか。
タイムスリップした気分になる。
国道から1本入ると、こんなものを発見できるのか。
ましけ町には、なんと日本最北端の造り酒屋「国稀」がある。
中は見学できるので、ちょっと見せていただいた。
近くまでいったら、1本買ってみてはどうだろう。
この先は目新しい場所も無く、小樽まで行く。
北一ガラスで、土産を買い、運河の脇で記念にパチリ。
さあ、北海道を去る時間が近づいてきた。
札幌の渋滞を避けるために高速を使うが、この地で快適な一般道を体験したあとでは、高速は何とつまらないものにしか感じない。札幌を通過後、すぐに一般道に下りて苫小牧に向かう。
夕刻となる。
バックミラーに美しい夕焼けが写る。
楽しませてくれたお日様に感謝する。
苫小牧〜八戸のフェリーは21:15に出航。
2000年、私のホッカイダーはこれで終わった。
本日の走行:315km オドメーター:20220km
9月9日(土曜日)、朝から降り始めた雨のなか、八戸から東北道で東京を目指した。
仙台付近まで来たとき、サービスエリアーから出ようとしたが、エンジンが掛からない!
・セルは回るし、ドドーンと音もする。
・アクセルを廻すと燃料も噴射する。
・キャブレターが外れたかと思い、エアフィルターを外して点検するがOK。
仕方なくJBRを呼び、ハーレーダビッドソン宮城までレッカー移動。
見てもらうが、症状がでるのに原因がつかめない様子。
結局、エンジン右下部にあるコネクター付近が怪しいということになる。
ここは防水仕様らしいが、雨の中を走ると雨水が侵入し、センサーが誤動作するらしい。
2001年のローライダーには、このコネクターが無くなっていることも確認した。
今後HDJにクレームをだしてみようかと思う。
同車種の方は要注意。
このコネクターにはテーピングするほうがいいだろう。