ハーレー乗りのためのアマチュア無線

◆ライダーのためのアマチュア無線の基礎 (1999年8月18日)


アマチュア無線って何?
  アマチュア無線を説明する前に、免許のいらない無線機のお話をしましょう。
    市民(CB)無線
       いわゆる「トランシーバー」なんていう言い方をされていたのがこれです。
       免許証はいりませんでしたが、実は無線局免許がだれにでももらえたので、実質免許不要でした。
       東京では、「板橋123」などのコールサインが与えられていました。
       その後、コンボイという映画の影響で、輸出用の大出力違法無線機をトラック運転手の方々が使い、
       社会的に問題になりました。


    パーソナル無線
       800Mhzといえば、現在の携帯電話の周波数だなとピント来る人、いますよね。
       車に載せたり、トランシーバー型を携帯したりして、一時は流行しました。
       パーソナル無線は、携帯電話の普及によって急速にユーザーが減少しました。
       出力は5W程度ありました。


    特定小電力無線:
       ディスカウント・ショップなどでも売っている携帯型の小型トランシーバーです。
       8チャンネル、11チャンネルでUHF帯0.1ワットという、凄く弱い電波を使います。
       届く範囲も、数百メートルから、条件が良くて2キロメートル程度です。

       
 さて、アマチュア無線がこれらとどう違うのかというと;

    1.電波の出力がとても大きい。
       これが最大のメリットです。
       だから国家資格の免許が必要なのです。
    
2.使える周波数の範囲がメチャクチャ広い
       ということは、混信が少ない。そのうえ、いろいろな地域と交信できるということです。
         短波帯(1.9Mhz、3.5Mhz,3.8Mhz,7Mhz,10Mhz、14Mhz,21Mhz,24Mhz,28Mhz)、
         VHF帯(50Mhz,144Mhz)、
         UHF帯(430Mhz,1200Mhz、2400Mhz)、
         SHF帯(それより上の周波数)
       といった、ものすごい沢山の周波数を使えます。
    
3.テレビ通信や電波を使った情報通信もできる。
       ただお話するだけではない。電波を使ったいろいろな通信に利用できる。


アマチュア無線の資格とメリットは?
   4種類のクラスに分かれています。 4級と3級が「初級」、2級と1級が「上級」です。
    4級アマチュア無線技士(4アマ)
      バイクで言えば「原付」です。ちゃんと勉強すれば、小学生でも合格できます。
      日本でアマチュア無線をやっている90%くらいは4級です。
      ハーレーでのツーリングで使うには、この4級で十分です。

    
3級アマチュア無線技士(3アマ)
      「原付2種」つまり125ccバイクっていうところです。
      3級では、50Wまでの電波を出すことができます。
      低速度のモールス通信の実技試験が含まれます。

    
2級アマチュア無線技士(2アマ)
      「中型自動二輪」です。
      試験はかなり専門的になり、中速度のモールス通信の実技試験が含まれます。
      2級では、200Wまでの電波を出すことができます。
      4/3級では使えない「14Mhz」という、海外通信に適している周波数を使うことができます。
      自宅から海外と交信したい人は、2級は欲しいところです。

    
1級アマチュア無線技士(1アマ)
      まさに最高位のクラスで、「普通自動二輪」と同じです。
      高速度のモールス通信の実技試験が含まれます。学科試験も最も難しい内容です。
      負けず嫌いな人には、難関ターゲットとして最適です。頑張れば合格可能です。
      送信できる出力は法律的には制限がありません。
      現在1KW程度までなら、郵政省から正式に許可されます。
      ここまで出せば、中程度の放送局並の強さです。はっきり言って強いです。


資格の取り方は?
    4アマを取得するには、日本無線協会が主催する国家試験を受験するか、郵政省が認定している
    
講習会を受講する方法があります。 ちょうど一発試験と、教習所のようなものです。
   

国家試験 講習会
時間 ・申請から受験まで約2か月
・合格から免許を受け取るまで約1か月
・申し込みから免許を受け取るまで約1.5か月
内容 ・受験したい月の2か月前の20日までに受験申請する。
・後日指定された試験会場、試験日時に行って受験する。
・最寄の講習会場があれば実施の1週間前までに申し込む。
・講習会は終了試験を含めて11時間。最短2日で済む。
費用 ・受験費用 4,080円
・合格したら免許申請料金 1,800円
・22,450円(免許申請料金を含む)
合格率  約50%  80%以上

    お薦めは?
     1.周囲に教えてくれる人がいるか、問題集を暗記するくらいならOKという人には国家試験。
     2.とにかく早く免許が欲しいか、講習会でちゃんと説明を受けてみるもの悪くないと思う人には講習会。
    
    さあ、あなたはドッチ?

国家試験はどこでいつ受けられるの?
    国家試験は全国の主要都市で開催されています。
    東京などでは、毎月数回実施されていて、日曜日にも行われる場合があるのです。オドロキ!
    試験のスケジュールや申し込み期限はアマチュア無線関係の雑誌(CQ誌など)で分かります。
    また、日本無線協会のホームページでも最新情報を入手できます。


開局の方法は?
    バイクと違い、免許(正式には無線従事者免許証)を取得しても電波を出せません。
    バイクで車検があるように、無線局を開局するには「無線局免許状」というものを申請します。
    無線従事者免許証を持っていれば、基本的には申請するだけでこの「無線局免許状」はもらえます。
    無線局免許状によって、「コールサイン」がもらえます。
    バイクでいえば、ナンバープレートです。コールサインにより、個人を識別します。


コールサインの仕組みは?
    全国を10のエリアに分けて区分けされています。コールサインを聞いただけで、
    どこの地域の無線局か識別できます。
 (1999年現在)

エリア         コールサイン     エリア          コールサイン    
関東(1エリア) JA1〜JS1
7K1〜7M4
沖縄(6エリア) JR6〜JS6
東海(2エリア) JA2〜JS2 東北(7エリア) JA7〜JN7
関西(3エリア) JA3〜JS3 北海道(8エリア) JA8〜JK8
中国(4エリア) JA4〜JN4 北陸(9エリア) JA9〜JF9
四国(5エリア) JA5〜JI5 信越(0エリア) JA0〜JJ0
九州(6エリア) JA6〜JQ6 小笠原 JD1

    ラジオ放送局でも、♪♪♪文化放送、文化放送、JOQR♪♪♪なんて覚えているでしょうか?
    この「JOQR」は文化放送(東京)のコールサインです。
    アマチュア局では、上記のJA1の次にxxxと3文字のアルファベットがつながります。
    ですからJA1ABCといったように6文字で指定されます。


どんな機械を買えばいいの?
    無線機には大きく分けて3種類あります。
   
 1.固定機
      一般的には家から電波を出すときに使用する無線機のことをさします。
      机の上に置くようなタイプで、高性能です。
      家から海外と交信するためには、固定機でないと無理です。
      価格は10万円から20万円程度、高級機ではその数倍します。

    
2.ハンディ機
      ハーレーでのツーリングで使ったり、スキー場で携帯しながら使える小型の無線機です。
      5W程度のものが多く出回っています。
      胸のポケットに入れたり、サドルバッグにも楽勝で入ります。
      電源は、内蔵のニッカド電池やアルカリ乾電池で作動します。
      価格は3万円から5万円程度で、秋葉原などでは2万円程度の出物もあるでしょう。

   
 3.モービル機
      車に乗せるタイプの無線機です。ハンディ機より出力が大きく10Wから20Wです。
      ハンディ機より送信も受信も全体的に高性能です。
      出力が大きいので、カーバッテリーから電源をとらないと使えません。
      乾電池では無理でしょう。また少し大きめですので、ハーレーではチョット無理かも。


トランシーバーって何?
    トランシーバーとは、「トランスミッター(送信機)」と「レシーバー(受信機)」から作られた合成語です。
    今から30年以上も前は、無線機といえば、送信機と受信機の2台が必要でした。
    そして、部品を共通化することで一体型無線機が作られ、これがトランシーバーと呼ばれるようになったのです。
    現在では、英語の単語としても正式なもので通じます。
    小型で、携帯電話を大きくしたようなものが、トランシーバーというイメージがありますが、実はこういう語源があったのです。
    上に説明した「固定機」「ハンディ機」「モービル機」全てが、現在はトランシーバーになっています。
    上級機の固定機では、いまでも送信機と受信機のセットで販売されているものもあります。


どうやってハーレーから電波を出すの?
    具体的には以下のようなものが必要です。
    
1.とりあえず簡単に出したい。
      ・ハンディ無線機 1台
      ・ヘルメット取り付けタイプのヘッドセット(マイクとスピーカー)


    
2.ハーレーにアンテナを付けて電波を強くしたい。
      ・上記に加え、アンテナ取り付け金具と同軸ケーブルセット
      ・車載用アンテナ

    
家から電波を出すには?
    目的別に考えてください。
    
1.走行中のハーレー仲間と家から話しをしたい。
      ・ハンディ無線機または固定無線機
      ・アンテナ(GPアンテナなどの無指向性か、八木アンテナなどの指向性)
      ・アンテナを屋根やベランダなどに取り付ける装置
      ・指向性アンテナの場合は、アンテナ回転機

    
2.国内の各地と交信したい。
      ・固定無線機(初級〜中級機種)
      ・指向性アンテナ(初級〜中級用)
      ・アンテナ回転機(小型用)

    
3.国内と海外の両方と交信したい。
      ・固定無線機(上級機種)
      ・指向性アンテナ(上級用)
      ・アンテナ回転機(大型用)


専門用語とは?
    アマチュア無線の世界では、伝統的にいくつかの略語を使っています。
    
1.Q符号
      QRA:名前はなんですか?
      QSO:交信すること
      QTH:住所はどちらですか?
      QRZ:どなたかこちらを呼んでいますか?
      など

    
2.略号
      73 :さようなら
      FB :素晴らしい(Fine Business)
      OM :先輩(Old Man)
      YL :女性(Young Lady)
      XYL :奥さん

      

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