PSEマークが私達に与える影響
2006/3/1新規作成 4/20更新
経済産業省 製品安全課への問い合わせ直通電話は4月1日から全国各地に分散しました。 (4/20更新)
関東地区は さいたま新都心 048-600-0409(直通)です。
その他はこちらをご参照ください。

このマークがPSEマークである。他にひし形のようなPSEマークもあるが、私達の趣味に直接影響があるのがこの丸型のPSEマークだ。このマーク、2001年4月に施行された電気用品安全法によって、規制対象となる電気製品の製造・輸入および販売の際に、その製品の安全基準を満たす事を表示することを義務づけたもの。
オーディオ・プレーヤー、アンプ、チューナー、テープレコーダー、CDプレーヤーなどのオーディオ機器は全て対象となる。私の趣味の1つは「オーディオ」。高校生の頃からいい音がどういう仕組みで出るのかを知りたくてこの道に入ったので、オーディオが趣味になって30年以上になる。
現在では、アンプとして、LAXのLX38(真空管) と、AccuPhaseのE-202の2台を持っているが、まだまだ欲しいアンプは限りが無い。その殆どが昔の製品である。特にマッキントッシュは私が入手してみたい物の1つ。
すでに市場に流通している対象となる製品は、製品の分類ごとにそれぞれ異なる猶予期間が設けられている。この期間中なら販売することが認められているのだが、私の趣味としている「オーディオ機器」は猶予期限が5年となっているため、2006年3月31日で期限が終了し、4月1日から新法が本格施行される。
この写真は私が学生の頃から通っていた秋葉原駅前のラジオ会館にある「清進商会」。欲しいアンプやプレーヤーがいつも沢山あって、秋葉原に行くと必ず立ち寄っては眺めていた店だ。その店の在庫もすっかり減っていた。これには驚いた。
新法の施行以後、秋葉原などの中古オーディオ販売店では、当然PSEマークなど付いているはずが無い昔の名器達を販売できなくなる。このため、3月末まで在庫一掃セールを行うところが増えている。

この写真のTEACのテープデッキは、私が欲しくても手が届かなかった。学生になっても社会人になっても、その値段は高値であり、TEACというブランドは持っているだけでも所有欲を満たしてくれるものだった。バイクでいうハーレー・ダビッドソン、車でいうフェラーリ的な存在だった。この店にはそれがさりげなく展示されている。今ではオープンリールのテープデッキを使う人は極僅かだろうが、私が昔、テレビ局のスタッフをしていた頃にはオープンリールは全盛時期だった。
では今後、私はどうやって昔のマッキントッシュの名器アンプを入手できるのだろう。個人での販売にも注意が必要になる。個人間での売買にはPSEマークの有無は関係ないのだ。であれば知り合いから買う方法と、インターネット・オークションで買うという方法がある。
考えてみた。
PSEマークが無い電気製品の売買を禁止する法律は、製品の安全性を確保することにある。
それなら、ちゃんと整備・修理・調整された中古製品販売店から買うほうが、オークションで買うより安全ではないか。オークションでも、一度に大量に販売すると業者とみなされて規制の対象になるそうだ。経済産業省の下記サイトに詳細が掲載されているので興味ある方はご覧いただきたい。
http://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/keikasochi/keikasochi_q&a.htm
http://www.meti.go.jp/policy/consumer/tokushoho/gaiyou/auctionguideline.pdf
さて、今後の中古製品販売店はどうなるのだろう。
私の行った清進商会では、レンタルという形で製品を使えるようにすることなども検討しているそうだ。レンタルなら販売ではないのでPSEマークの有無は関係ない。
それに、もっと電圧や電力の大きいアマチュア無線機械はどうも影響が無いようにみえる。新法を熟読していないのでまだ分からないが、高圧の電気を扱うアマチュア無線機のほうが、オーディオ・プレーヤーより危険だと思うのだが、どういう担当者が対象製品を決定したのだろうと疑問になった。
- 【3月2日更新】
- この新法が立法されたのは小渕内閣時代ですので、現在とはいろいろな面で状況も異なる一方、中古機器販売を範疇にするか否かが明確に記載されていないことも大きな問題とされています。また、3月1日のフジテレビ系列の「ニュース・ジャパン」でも取り上げられ、経済産業省の担当者から、「この新法の周知徹底ができなかった」ということを認めています。しかし法律は施行されます。
- 今更法律を改正することはできませんが、事務的な不備があった事は、言ってみれば職務不履行となります。それでもあと1ヶ月弱で正式に施行され、中古機器販売店は閉店せざるをえなくなります。事実、私が高校時代から行っていた上記写真の店、清進商会も閉店することになり、私も他のお客さんと一緒に今後どうしていったらいいのかを話してみたりしました。今後は、経済産業省に署名活動の結果を持参するそうです。営業してきた中古機器販売店では、来月からどうやって生計を立てていくのでしょうか?それが心配だと言っています。もっと前から新法が周知徹底され、対応策を講じたりすることさえできれば、1−2ヵ月の間に閉店することなど、起こらなかったのです。
中古電気機械の販売ができなくなるということは、某中古販売チェーン店が経済産業省に最近になって問合せしたことが発端のようです。それまで、新品の製品は全てPSEマークが無ければ販売できないと理解されていました。それは経済産業省も、販売店もです。また、私達消費者にも具体的な内容が周知徹底されることはありませんでした。2月20日の新聞報道がビンテージ・オーディオを趣味にする人、高価なシンセサイザーを中古で安く入手して音楽を楽しむミュージシャン、1950年代に製造されたビンテージのギターアンプを買うことを楽しみにしてきたミュージシャンなどに大きなショックを与えました。今後、どうやってこれらの趣味を続けていけるのか、方策を考えたいと思っています。
- 【3月8日更新】
- 経済産業省 電気用品安全法のページ
電気用品安全法
日本シンセサイザー・プログラマー協会
-
- 【3月14日更新】
- 本日、経済産業省のウェブページ上において、いわゆるビンテージ楽器、音響機器などについては、「特別承認制度」を適用し、PSEマーク無しで簡単な手続きで売買ができるようにすると発表がありました。この「音響機器」に1980年代のアンプやプレーヤー、テープデッキなどが含まれるかどうかは明確になっていません。そこで秋葉原の清進商会さんに電話で問合せしてみたところ、清進商会さん自身も今後確認されるそうです。常識的に判断すれば、含まれると考えられます。
しかし、本日の発表に掲載されている「ビンテージもの関係」という表現は政府が行う発表としては不適切と考えます。ビンテージの定義が一般的に明確ではないためです。これは坂本龍一さん達がムーグ・シンセサイザーなどが売買できなくなるという事で署名運動した事で政府担当者が急遽検討した結果、このような表現でしか発表できなかったと想像されます。本来どうあるべきか、私も分かりません。80年代のオーディオ機器は、オーディオファンからすればビンテージです。しかしそう感じない人もいるでしょう。ご担当者の苦労がよく分かる発表内容に、とても人間性を感じました。
- 全文は下記サイトを参照ください。
電気用品安全法の経過措置の一部終了に伴う対策について PDF (平成18年3月14日)
- 【3月24日更新】
- 経済産業省は本日、4月以降も当分の間はPSEマークがない中古家電製品の販売を、事実上認めることを決めたということです。中古機器販売店などが自主検査でマークを付けるまでの間について、同マークを義務づけた電気用品安全法の対象外となっている「レンタル」とみなすことで従来方針を転換するという内容ですが、まだユーザーの観点ではどうなるのか明確ではありません。従って、当面は秋葉原などの中古オーディオ機器の販売店は買い取りをしないでしょう。
また、読売新聞、毎日新聞などでも社説などで取り上げたりしています。PSE法が中古機器について考慮されていなかった事はなぜ立法された2001年の段階で含まれなかったのか、未だに疑問です。
- 【3月27日更新】
- 経済産業省、製品安全課(電話03-3501-4707 直通)に電話し、アマチュア無線機がPSE法に該当するのかどうか確認しました。電話を受けて下さった担当者は上司に確認し、「該当しない」との回答を得ました。従ってアマチュア無線機は中古であっても4/1以降、販売店で販売できます。よかった。
続けて、3/14に確認した時点では、ベータマックスのビデオデッキは「特別承認制度」に含まれると聞いたが、間違いが無いかと聞いたところ、3/14に対応した担当者の判断は間違いであり、3/14発表の「特別承認制度」に含まれる「音響機器」にはベータデッキは含まれないということです。すなわち、我が家にある沢山のベータで撮りだめした昔のスキー番組などの映像ソースを見ることができないわけです。ベータデッキは数百万台が出荷されていますから、希少価値はありません。3/14に発表された「電気用品安全法の経過措置の一部終了に伴う対策について」で述べられている内容は混乱した内容であり、今月中に明確なメッセージが正式に報道されると確認をとりました。
- 【3月29日更新】
- 私が今日知ったことですが、コンセント付の家具(例えば蛍光灯やコンセントなどの電気用品が付属している机、ドレッサー、ベッド等)についてもPSEマークが必要なんだそうです。これは家具メーカーが知らなければならない事項ですが、経済産業省の内部においても知られていなかった落ち度のようです。このまま4月1日を迎えれば、蛍光灯のついた勉強机などはPSEマークが無ければ販売できないという、とんでもない状況になるのですから、被害を受ける業界が広がっている現状が怖くなってきました。
- 【4月20日】
- PSE法についての相談窓口が全国に分散しました。早速電話してみましたが、案の定、3月までの受付窓口の担当者の言い分とは全く異なってしました。ベータデッキを特別承認制度の対象に入れて欲しいと要望できるのは中古販売店の業者だけであり、一般消費者からは受付できないということです。なんのための、誰を守るための法律なのでしょうか?
■情報が追加された際には、このページを更新していくつもりです。
※当ページの写真は、清進商会さん承認の元で掲載しています。
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