アカテガニの“放仔(ほうし)”観察会
「放仔(ほうし)」耳慣れない言葉ですが、これはカニのお産のことです。
いつもは山で暮らしているアカテガニですが、生まれてからしばらくの間は海で生活しなければなりません。
だからアカテガニの親は子供を産むために、夏の大潮の晩、山から海へとおりてきます。
山で暮らすアカテガニにとって、生まれ故郷とはいえ海に入るのは怖いことです。
特に波の高い日には、それはそれはそれは怖そうにして、なかなか海へ入れなかったりします。
海にはボラの子供たちが集まって、アカテガニがおいしいごちそうを産んでくれるのを、いまか、いまかと待ちかまえていたりもします。
それでもアカテガニが生まれ育つためには海が必要なのです。
それに、大半の子供がボラに食べられてしまったとしても数匹は生き残れるくらい、沢山のたまごをおなかに抱えています。
アカテガニの親は決心して海に入り、からだをふるわせてたまごを産み落とします。
その瞬間、アカテガニのたまごはもうたまごではなく、「ゾエア」と呼ばれるカニの幼生に変身しているのです。
だからアカテガニのお産のことを“産卵”ではなく、“放仔”と言っています。
それではアカテガニの放仔に始まる、夏の夜の命の物語、一部始終をご案内します。
三崎口駅前
午後3時半頃
参加者はおもいおもいに集合場所へ向かいます。
観察会の集合場所は小網代干潟の高橋別荘前地図を見る
北の尾根を下れば、干潟はもうすぐ
森の中は海へ向かうアカテガニがいっぱい。
カニを驚かさないように気をつけて歩きます。
森の中、人家の近くにはこんな看板が・・・
小網代は無人島ではありません。だから森へ入るには住む人への配慮も欠かせないのです。
みんな判っていることのはずなのに、ちょっと悲しい看板です。
数カ所に分かれて紙芝居を上演するフィールドスタッフ。
今夜生まれるカニの子たちがどのように成長していくのか
放仔を観察する時に必要な注意などなど・・・
紙芝居が見てみたい人はこちら
(小網代の森フィールド便りの自然観察劇場「アカテガニがいっぱい」へリンクします)
紙芝居を見たら、暗くなる前に海へ入ってカニを待ちます。
「人は海、カニは陸」カニより先に海へ入って待ちましょう。
暗くなるまでは一番星を探したり、カワセミの飛行に歓声をあげたり
カニが海へおり始めたら「岩になって」静かに待ちます。
カニを驚かさないように
懐中電灯をつけるのも、
カメラのフラッシュ撮影もしばらくの間は禁止です。私たちは「岩」ですから・・・。
アカテガニが干潟へおり始めました。 ![]()
水際で立ち止まるアカテガニ
ゾエアを食べてしまうボラの少ないところを探しているのでしょうか
やがて、決心したように放仔を始めるアカテガニたち
![]()
からだをふるわせて、数万匹のゾエアを海に放します。
せっかく生まれてきたゾエアも、その大半はボラの子たちに食べられてしまいます。
そして、空にはゴイサギが、磯ではアシハラガニがボラの子をねらっています。
放仔が始まったら、懐中電灯をつけても大丈夫。
写真もじっくりねらって撮影することができます。
ゾエアを観察しようとしたら、エビが入ってきました。
エビもゾエアをたべるんでしょうか?
放仔をすませたメスと交尾するために、大きなハサミのオスのアカテガニが現れます。
交尾したメスは数週間後の大潮の晩にまた、この干潟へやってきます。
こうしてアカテガニは一夏に3〜4回も子供を産むのです。
生きることの素晴らしさと、厳しさを同時に見た夜
月の光が目にしみるようです。
闇の中に白く輝くウェディングベールカニの放仔に夢中になっている間に、カラスウリの花が咲きました。
小網代の森フィールド便り 次回カニパト日程はこちらでご覧下さい。
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