はし親子の落書き帳
2002-1

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2002.08.25(日)

仔ウサギ 小網代の森を守る会の総会が無事終了。有志を募ってアカテガニの放仔(※)を見に行きました。今年最後のカニパトです。
 北の尾根を下り、お手伝いに来てくれた大師高校生と合流。管理倉庫でユニフォーム「胴長(胴付き長靴)」を着ます。少し涼しく感じる日にはもちろんのこと、暑い盛りにも水に入ると心地よく、しかも誰にも不思議と良く似合う、人気のアイテムです。

 大蔵緑地で募金箱やグッズを用意していると、一瞬草むらがざわめき、小動物が草むらの中を走っている気配。

「ウサギだ!!

人がこんなに大勢いる所にうっかり飛び出てしまうようなウサギじゃとても野生で長生きはできません。
ちょっと追いかけ回しておどかしてやらなくてはいけないと、ウサギの習性に詳しいYさんが出動。数十秒の追跡で、見事にキャッチ。

捕まえられたウサギは、キィー、キィーとびっくりするような大きな声で鳴いています。
Yさんの手の間に挟まってしまった耳を引っ張り出してやると、ピタッと鳴き止み、表情もうって変わっておだやかに、思わず連れて帰りたくなるような愛らしさです。
高校生たちが大喜びで頭をなでなでしてもおとなしく、ウサギ特有のニコニコ顔。
写真を写されたり、なで回されたりしたあとに放してもらうと、必死の勢いで走り出しました。一生懸命走る、後ろ姿の可愛かったことといったら、なんとも言いようがありません。

Yさんの推定では生後3ヶ月くらいとか。大人のウサギは足も速いし、逃げ方も巧妙なので捕まえられないけれど、仔ウサギの動きは予想がつくし、足も遅いので捕まえられるんだそうです。
男の子でした。これで少しは長生きしてくれるようになったでしょうか。

それにしても、仔ウサギが大声で鳴いているとき、親ウサギはどんなに心配したでしょう。子供を持つ身としては、ついつい同情してしまうのでした。

ウサギ騒動がおさまり、カニパト再開。
放仔見学には遅い時期ですが、神奈川テレビの特集や小網代のホームページを見た参加者がありました。
中に小学生も5〜6人。人間の子供たちはのびのびと可愛くて、向学心も旺盛。
海に入って、おそるおそるクラゲを触ったりしながらもスタッフを絶句させるような鋭い質問をしてきます。この子たちが将来、ここで紙芝居を読んでくれるようになったらいいなと未来に夢を馳せてしまいました。

2002年カニパト納めの夜は、スタッフみんなの心に、楽しい、可愛い思いを残して、とっぷりと暮れていました。

※放仔(ほうし)=カニのお産
アカテガニの卵は海水に放されるとすぐにゾエアという幼生になります。そのためアカテガニのお産のことを産卵ではなく、放仔と言います。


2002.04.29(月)

モンキアゲハ 4月の観察会は春の花、のはずだったのですが、森はすっかり夏景色。
初夏の花や虫が観察できました。
羽化したばかりのモンキアゲハです。まだ乾ききっていない羽が黒く光るようで白い模様も黄色い紋もくっきり、とてもキレイでした。

今回は小網代育ちのSさんがご家族で参加。まだ農業が営まれていた頃の小網代の森のお話を伺うことができました。お会いするまでは、もっと年配の方を想像していたのですが、意外にもかつての小網代キッズは私と同世代。「楽しい森の仲間たち」も見て下さっているということで、きゃぁ、うれしい。
光栄ですと申し上げたところが、「コウエイってなに?」と現在のS少年の素早いツッコミ。ウッと詰まったはし親、え〜と・・・
答えが出てこない。以来数週間を経ても出てこない。体裁悪いので辞書を引いて見ると「ほまれ」「さかえ」とありました。なんだかわかったようなわからないような、誉れと栄えじゃずいぶん違うような気がするのだが、え〜ぃ! とにかくうれしくて光栄の至りだったのです。


こどもの頃、私のおやつの調達場兼遊び場は駄菓子屋さんでしたが、Sさんの場合は小網代の森。クワの実やあけびの実、スカンポを食べ、川で小魚を追い、干潟でカニとたわむれ、たまにウナギが取れと、森はおやつの調達場所で遊び場所、そしてワタリガニやヤマノイモを提供してくれる食糧倉庫だったそうです。と言うと何やら大昔のことのようですが、戦時中という訳ではありません。れっきとした戦後生まれの私たちです。
浦の川の流れの所々に流れを通すための堀あとがあることにも、教えられて初めて気がつきました。谷で農業を営む人たちが手入れをして大切にしていた様子が想像できます。

ノイバラ
ノイバラがこんなに咲いて、風が爽やかでゴージャスな香りを森じゅうに運んでいます。

小鳥を捕まえるワナを見よう見まねで手作りしたけれど、捕まえられなかったとか、鳥も命がけですからね。
ワナの材料はもちろん森で調達した小枝など。けれどその作り方は市販されているものと同じということが最近分かったそうです。

私がこの森を知ったとき、ここはゴルフ場、リゾート地として生まれ変わる予定でした。そしてこの森を守るために働いている、小網代大好きの人々がいました。10数年が過ぎ、今、この森は保全が約束された森になりました。
大したお手伝いはできなかったけれど、小網代の森が大好きです。守られて本当に良かったと思っています。けれど、私たちは小網代の森が生き生きと人と共生していた時代を知らない。人が森を必要とし、森も人を必要としていた時代を知らない。
今でも、森はアカテガニにとって必要なのと同じくらい人にとっても必要なものなのに、それを忘れてしまって壊そうとする人は後を絶たない。

Sさんとお会いして、森は私にとってますます光ある場所、輝く場所になりました。

ミズキ
北の尾根のミズキも満開です。薄緑がかった白い清楚な花と小網代のイメージは、はし親の頭の中では完全に一致。
が、それにしても、この花を見るのは6月の観察会だったような気がするんですけれどね〜ぇ。
(どうせ私は方向音痴&季節音痴さ・・・フンッ!)

次回観察会は2002年6月23日(日) 干潟のカニの観察会です


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