「ピアノやバイオリンといった生楽器の代わりになるような機械、それがサンプラーである。」と書くとある種のミュージシャンからは反論されるだろうが、オーケストラのシュミレーションを目指す者に取ってはそれがサンプラーを使う主目的であるのだから仕方ない。
「では、なぜ生楽器の代わりにサンプラーを使うのか?」という質問によくあうが、
「趣味として楽しいから」これが唯一の回答である。もう少し補足しておくと
「オーケストラというものを深く理解できるようになる。」
「作曲家の気持ちがわかるようになる。」
「音楽の細かなフレーズ一つ一つに敏感になれる。」
と如何にも優等生的な回答になってしまうが、副作用として、ポリーニとかアルゲリッチの演奏でさえ「下手だ」と思う瞬間があるので、耳が鋭敏になり過ぎてもなあと思うことがあることだ。
さて、下らない能書きはここまでとして、まずサンプラーとはどんなものか見てもらうために下の写真を用意した。なにやらボタンとかダイヤルとかディスプレイとかついて難しい機械に見えるが、操作はそれ程難しくない。特にE-mu社のサンプラーは、指一本でポンポンと軽快に操作できてしまう。携帯電話並かそれよりも優しい操作性だ。

では、サンプラー音を鳴らして見るとしよう。
その前に準備が必要だ。サンプラーは単体では、音を自由に鳴らすことはできないからだ。とりあえず最小限のシステムとしてMIDI鍵盤とオーディオ装置を準備することにする。
MIDI鍵盤は、MIDIケーブルを介してサンプラーのリアパネルにあるMIDI IN端子に接続。出力にはステレオ装置を使用する。
それとサンプリングCDから音ネタを読み込ませるためにCD-ROMもSCSIIケーブルを通して接続しておく。
●いよいよ、音出しだ。
・ステレオのボリュームを絞ってスイッチオン。
・CD-ROM装置の電源スイッチオン。
・キーボードの電源スイッチオン
・サンプラーのボリュームを絞ってスイッチをオン。
そうするとなにやらディスプレイに文字と絵が表示される。まるでパソコンのようだが、実はサンプラーにはOSが搭載されており、このところはパソコンとなんら変わりない。
ちなみにこの機種のOSは、EOSと呼ばれている。

さて立ち上がったが、このままではまだ音が出せない。
サンプラーに音ネタをロードする必要があるからだ。
●音をロードする。
E-muのEOSサンプラーの場合、バンク単位で管理されており、通常はこの単位でサンプラーにロードする。
バンク、プリセット、ボイス、サンプルとはサンプラーを理解する上での基本用語なのでここで整理しおく。なおこの呼び方は、メーカーによって異なる場合があるので注意してほしい。
| サンプル |
サンプリングしたときの最小の単位。例えば、トランペットのF3の音をサンプラーに取り込んだ状態が一つのサンプルという単位になる。次にBb3の音をサンプリングした場合は、別のサンプルとなる。
楽器をサンプリングする場合は、1オクターブにつき4〜12個程度の音域幅でサンプリングする。 |
| ボイス |
サンプルに鍵盤のレンジ情報を与えたり、ベロシティ情報 等を与えたものをボイスと呼ぶ。
例えば、先ほどのトランペットの例で言うと、F3サンプルにC2〜G3の鍵盤レンジを割り当てるとそれが、1つのボイスという単位になる。
この概念は、E-mu社の独特のものである。少し複雑なボイスになるっffとfとpなど2つ以上のサンプルをまとめて一つのボイスにすることもある。ここで詳しく説明すると頭を混乱させてしまうので説明を省略する。 |
| プリセット |
複数のボイスの集合した単位。通常この単位が一つの楽器と呼べる単位になる。
プリセットは、MIDI規格のプログラムチェンジに対応しており、サンプラーにロードされているプリセットはシーケンサーから呼び出すことができる。 |
| バンク |
プリセットの集合した単位。
E-mu社のサンプラーの場合は、バンク単位に音ネタをロードする仕様になっている。
例えば、金管楽器というバンクを作成し、その中にトランペット、ホルン、トローンボーン、テューバというプリセットを含めることができる。
各プリセットには、プリセット番号が付いており、サンプラーのテンキーやダイヤルから番号を呼び出すことにより、各プリセットを呼び出せるようになっている。 |
| フォルダー |
バンクの集合した単位。パソコンのディレクトリとほぼ同じ概念。
バンクが増えてきたときに整理するためのものである。
例えば、オーケストラというフォルダーに金管楽器、弦楽器、打楽器というバンクを含めることができる。 |
●サンプリングCDからバンクをロードする
CD-ROM装置にサンプリングCDを挿入し、サンプラーにロードする。
バンクのロードは、パソコンでいうファイルを読み込む操作と大差はなく簡単なものである。
装置を選択し、フォルダーをオープンし、バンクを選択してロードボタンを押すとバンクがロードされる。

バンクがロードされたら次は、バンクの中のプリセットを選択していく。
テンキーで直接選択するか、ダイヤルをくるくると回すことによって選択できる。
適当なところで鍵盤を叩くと音が出てくる。