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Opus1

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作成日:2004/03/14

VSL HORIZON SERIES OPUS 1 ORCHESTRA

はじめに

 Opus1はVSL(VIENNA SYMPHONIC LIBRARY)のライトバージョンとしての位置付けで販売されている最新のオーケストラ用ライブラリである。 オーケストラライブラリとしては、その他にもVSL Pro Edition, QLSO(QUANTUM LEAP SYMPHONIC ORCHESTRA)の各種エディション(プラチナ、ゴールド、シルバー)、GPO(Garritan PERSONAL ORCHESTRA)が次々と発売され、うれしい悲鳴をあげているところである。

GPOに関しては既に購入しているが、これはオケ趣味入門向けで、作曲用スケッチライブラリとしても充実している製品なのだが、本格的なオケ趣味作品を作成するには少々力不足である。

QLSOは、巷ではかなり評判のよいライブラリではあるが、ライセンス関係で面倒なKompactベースであることと、ほしい奏法がないということで次バージョンに期待しつつ見送りとすることにした。

VSLは74万円もする高価なライブラリであることと、大本命のSYMPHONIC CUBEが出荷されるのがギガスタ3バージョンの影響で遅れ来年くらいになるであろうということで、とりあえずライト版であるOpus1で様子をみてからでも遅くはなかろうという判断で購入した。うれしいことにOpus1購入ユーザは、1000ユーロ安くVSL Pro Editionを購入できる特典があるのでこの投資は無駄にはならないのである。

※クリプトンのアップグレードサービスだと113,000円ほど安く購入できる。それにしてもPROエディションは米国と比べて高すぎませんかね?

 VSLシリーズに期待していることはパフォーマンスツールが使えるということだ。
パフォーマンスツールの最大の売りは、生楽器とほぼ同じようなレガートを表現できることにあり、現存するライブラリの中では最高なものだ。しかしながらVSLサイトの宣伝文句はサンプル数が多いとか、音色のバリエーションが豊富とかを強調し、販売形態もパフォーマンスセットを別売にするという愚挙を犯している。ユーザの立場からは明らかにピントがずれているという感じだ。「真のレガートを表現できる唯一のライブラリ」とした方が売るためのキャッチフレーズとしては良いと思うのだがどうだろうか。

 その点、反省があったのかどうかわからないがOpus1などのHORIZONシリーズでは、パフォーマンスセットが一部含まれる形で販売されたことに対しては評価できる。また価格も安くなっていることもうれしい。

概要

 Opusとは作品のこと。つまりOpus1は作品1ということになる。クラシックの作曲家なら自分の作品に作品1という番号を付けるということはこれをもって世間に作品を問うという強い意思表示になる。本来の作品1は、VSLのFirstエディションのはずなのだが、こう命名したこだわりから推測できるようにかなりの自信作ということで、単なるライトバージョンではないということを意味している。  実際に使ってみたところ必要な楽器と奏法は充実しており、音色もかなりハイファイ。VSLから贅肉を削ぎ取り、作品1と呼ぶに値する本格的なオケ用ライブラリ集に仕上がっている  

 Opus1の製品概要については以下のサイトで確認できる。

 詳細な情報は、  英語ならVSLの公式サイトはこちらへ
 日本語ならクリプトンメディアファージはこちらへ

特徴

ライブラリの全体的な質

 必要な奏法はほぼ全部そろっているし、各インストルメントの音程、音色、音量のバランスも均質でかなり良好だ。録音はVSLゆずりのオンマイクで収録され、オーボエのトリルなどはキーの音も聴こえるほどの解像度のよさ。音的には輪郭のはっきりとしたメリハリのある音で固めの音。波形処理はp〜ffまでかなり細かくなされているようで音量差が全体で統一されている。

豊富な奏法

 奏法に関しては、ショート系の種類が豊富で、スタッカート、ポルタートも各楽器で統一した長さと音量でエレガントに編集されているのでとても使いやすい。  ロング系もノンビブラート、ビブラート、フラッタリング、トリルもそろっているし、クレッシェンドバージョンもあるので使い方によってはかなりの演奏効果をあげることができる。 詳細な奏法の一覧はこちら(VSL公式サイトからのリンク)

プログラミング編集

 ベロシティレイヤーに関しては、最大6層、マルチサンプリングは基本的に1オクターブを6分割、低域などの要所では半音ごとに注意深くサンプリングされている。 各種のプログラミングは以下のようなものだ。
  1. 基本音色(Basic Insturuments)

  2. 基本音色の組合せ(Combination)
    これらの音色にはキースイッチが付いている。キースイッチとは鍵盤のあるキーを押すと音色の切り替えができるという機能。
    大抵はC1〜B1に割り付けられている。

  3. キースイッチベロシティ(音色名に_p-ffが付く)
    単なる各レイヤーされている音色をベロシティ値によって出力する機能と思いきや、より大きなダイナミックスの表現を可能とするために、p,mf,f,ffのキースイッチが割り当てられており、好みのキースイッチを選択してベロシティの値を割り当てると良いと書いてあった。

     

  4. ベロシティブレンド(音色名にLay-velが付く)
    レイヤーされている音色どうしをベロシティ値によってブレンドして出力する機能。 キースイッチを使うよりも滑らかな音色変化ができる。いわゆるベロシティクロスフェードである。

  5. モジュレーションブレンド
    レイヤーされている音色どうしをモジュレーションホイールによってブレンドして出力する機能。
    クレッシェンドやデクレッシェンドの表現に使う。    

  6. リリーストリガー(音色名に+RSが付く)
    キーを離したときに残響音を発音する機能。

  7. リリースコントロール(音色名に+RCが付く)
    リリースコントロールは残響成分をモジュレーションホイールによって変更する機能。
    リリースコントロールはギガスタのみ。

  8. フィルター(音色名に+filterが付く)
    モジュレーションホイールを使って高周波成分をカットできる。持続音で高周波成分が邪魔なときにかけると良いとのこと。

  9. レガート(音色名に_perf-legが付く)
    パフォーマンスツールを使う必要あり。演奏はモノフォニックのみになる。

  10. オルタネーション(キースイッチが組まれている音色が対象)
    パフォーマンスツールを使う必要あり。ポリフォニック可能だが使い方に注意。
目玉のパフォーマンスツールは、VSLと共通になっている独立したアプリケーションである。VSLではレガート、リピテーション、オルタネーションの3モードが使えるのだが、Opus1ではレガートとオルタネーションのみがサポートされている。
なおレガートの音色はpとfの各一種類のバージョンがカバーされている。

レガートモードとは、例えばドとソをレガートで演奏させた場合、ドとソの間のサンプリング音をパフォーマンスツールを使って発音するというもので、この結果は非常になめらかな本物に近いレガートを表現できるというもの。パフォーマンスツールの説明は別途掲載することとする。

オルタネーションモードとは、例えばバイオリンのアップボーとダウンボーというように交互に演奏させるためのモードである。実際はこうした奏法の完全シュミレーションという使い方よりも、同音連打したときのマシンガンエフェクトを回避するために使う場合が多い。例えばティンパニの連打で使うと効果的だ。

リピテーションモードは、例えばトランペットのダブルタンキングなど同音で繰り返す速いパッセージを表現するときに使うモードである。VSLでは曲の速さに合わせた様様なバリエーションが揃っている。残念ながらOpus1には含まれていない。ただし、オルタネーションでも十分に代用できるので演奏上の問題は特にないであろう。ちなみにPro版では、このリピテーションの種類が非常に豊富にあるのが特徴だ。

 

使ってみての感想

 VSLのライト版ということでそれほど期待していなかったのだが、音色的、奏法的に申し分なく、奏法の種類も実践的で統一性があるので使ってみてとても使いやすいと感じた。 昨今、巨大ライブラリが流行しているが、ユーザサイドからすると目的の音色を探し出すことが大変になったり、メモリの消費量が莫大になってPCにロードできる音色数がげ減ったりするのが不満の種になって来ている。

現状のPCの性能を考えると、Opus1程度の規模のライブラリがちょうど使い勝手と音色のバランスがよいと思う。

 目玉のパフォーマンスツールに関してはほぼ期待通り。レガートができるということはこれほどまでに音楽を豊かにできるものかと感嘆した。ただ、パフォーマンスツールには使い方に癖があって以下のことに気をつける必要がある。

  1. ギガスタを立ち上げる前にパフォーマンスツールを起動しておく必要がある。

  2. パフォーマンスツールの各モードに合致するインストルメントを最初にロードしておく必要あり

  3. レガートモードで演奏させるには実音を1オクターブまたは2オクターブさげてやる必要がある。

    そのまま演奏させるとそうなるが、パフォーマンスツールにpalファイルを読ませておけば、このような面倒なことをする必要はない。palファイルとは、上記のような不都合を回避させるためのパフォーマンスツール専用のファイルのことである。これを手に入れるには、VSLのサイトからダウンロードする必要がある。

    PALファイルを読み込ませるには、パフォーマンスツールの真中下にある「OPEN」ボタンを押してファイルを選択する仕様になっていて、少しわかりずらい。

    PALファイルの例(VI_Perf-leg.pal,VC_Perf-leg.pal)

  4. レガートモードで同音連打はできない。
    ドソは可能だがドドとすると最後のドは発音されない。レガートしないように間隔をあけると大丈夫。
    本モードにある場合、パフォーマンスツールの右下にあるRepetition Triggerに設定 してあるキー(デフォルトではD1)を繰り返す音の前に挿入すれば同音連打可能。ただしライブでやるのは不可能でしょうね。

  5. 1オクターブを超える跳躍がある場合はレガートできない
    レガートモードでカバーしている音程差は、上下1オクターブなのでこれを越えた場合レガートにならない。

  6. レガートさせたい音のデュレーションを次の音と少しオーバーラップさせる
    こうしておかないレガートにならない。

  7. レガートモードはモノフォニックである。
    このため和音を演奏させるとおもしろいことになる。

  8. レガートモードのリリーストリガーの使い方は微妙
    レガートモードにはキースィッチがついていて、最後の音を押した後でC#1を押すことでリリースで発音させることができる。 このタイミングが微妙でうまくタイミングを取らないと2音同時になったり、発音が途中で止まったりする。

  9. 現在のところパフォーマンスツールはベータバージョンである
    60日間の期限がついており、パフォーマンスツールを起動するごとにメッセージが表示される。少しうざっぽい。
    現在は、正規のバージョンになっている。

    あと全体的にリリーストリガー付きの音色のリリースがかかっているのかどうかわからないくらいに微妙。これは、残響のないスタジオでライブラリを収録しているので仕方のないことかもしれない。残響成分はリバーブかもしくは、他のライブラリを併用すればよいと思う。

    残響はモジュレーションホィールによっても調整する必要があり、これが0だと残響はなしだ。

    他ライブラリとの組み合わせでいくとGOSと合わせるとかなりの立体感のある分厚い音響を作り出すことができる。これはなかなか使えるなあと思った。

ご参考

Opus1のパフォーマンスツールを使って、吉松隆さんのデジタルバード組曲を作成した。フルートに特化して練習できたので使い方をマスタできたと思う。次回は、オケ曲で作成してみようと思う。選定としては芥川さんの作品になると考えている。

吉松隆作曲 デジタルバード組曲はここ
芥川也寸志作曲「トリプティーク」はここ

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ペンネーム:ららトーク   作者:幅田 圭一 Habata,Keiichi
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