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238 長編:異次元戦士ブラスター第十二話『邪念を超える信念』
2008.10.25(土)10:47 - じゅんぺい - 9517 hit(s)

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 陽が天高く昇る、のどかな昼前。
純平は自分の生まれ育った世界で、中国のある地域にやってきていた。いつもの
黒いTシャツにGパン、サバイバルチョッキに帽子という服装にリュックサックを軽
く担ぐ格好だが、帽子は深くかぶらず、浅めにしている。
都会から少し離れた街の中で、少し入り組んだ狭い道を、メモを片手にゆっくり
と歩く。時折、走り回る子供や談笑する女性たちとすれ違う。車が通るような大通
りは遠くにあり、今歩いている所はとてものどかに時が流れているように感じる。
 メモに書かれた地図に何度も視線を落としつつ、周囲を確認しながら道を進んで
行く。と、ある家の敷地の入り口前で純平は立ち止まった。
 敷地の小さい塀から覗き見る限りではそこそこ広い一軒家だが、佇まいは何十年
も前に建てられた風格をかもし出していた。コンクリートなど近代の材料は使われ
ていないようだ。
 数度、メモと家とを往復して見たあと、その家のチャイムや呼び鈴のようなもの
を探す。だが、そういった物は見当たらなかった。敷地に繋がる木の扉をノックし
て、少し待ってからゆっくりと扉を開ける。
 敷地の入り口から家の玄関までの間には少しだけスペースがあった。玄関に行こ
うとすると、家の裏のほうから声が聞こえてきた。純平は玄関の脇を通り、裏へと
回る。
どうやら、声は家の裏庭かららしい。
裏庭に一歩入ったところで、純平は立ち止まった。裏庭では、小柄な老人が2人
の若い男女に武術の指導をしていた。ゆっくりと、型のような動作を繰り返し繰り
返し行っている。
 と、老人が気配を察して純平の方を見た。
 純平は慌てて帽子をとりながら一度頭を下げると、リュックサックをその場に置
き、老人のもとへ歩いていった。男女は体勢を戻すと、純平を注意深く観察してい
る。
 70歳は過ぎているであろう老人は温厚な笑顔を浮かべていた。特に警戒するわ
けでもなく、純平が目の前に来るのを待っている。
 「何か御用ですかな?」
 目の前に来た純平に老人が中国語で尋ねる。純平は再度頭を下げて、チョッキの
ポケットから小さな封筒を取り出した。
 「新條純平と言います。巳滄桂蔵(みそうけいぞう)の弟子です」
 中国語で名乗って、封筒を老人に渡す。老人は軽く驚きつつも封筒を開け、中に
入っていた手紙に目を通した。全てに目を通すと、手紙を封筒にしまう。
 「懐かしいですなあ。桂蔵殿はお元気ですかな?」
 「はい。今も欠かさず功夫(クンフー)を積んでいます」
 「そうですか」
 目を細めて老人は笑った。老人はハク老師と言い、純平が以前学んでいた巳滄流
古武術の師であり颯樹の祖父である巳滄桂蔵とは、旧知の仲の武術家らしい。
 老師は男女の方に手を差し、紹介する。
 この2人は兄妹で、共に老師から武術を教わっているらしい。
 「この方は私の友人お弟子さんだ。日本古来の武術、『古武術』というのを学ん
でおられる」
 老師は敬いの念を持って純平を自分の弟子に紹介した。弟子の兄妹は、礼儀正
しくきっちりと頭を下げる。純平も慌てて頭を下げ返した。
 「この街に用がおありだとか。ちょうど、庭の離れの一室が空いていましてな。
よければ使ってください」
 「…あ、いえ、その…ありがとうございます」
 断りきれずに、純平はつい礼を言って承諾してしまった。しかしすぐに『その
方が何かと都合が良いだろう』と思い直す。と、そこで唐突に老師が、
 「服を脱いでみてくださらないかな」
 と頼んできた。
 純平は内心ドキッとしたが、なんとか平静を装って頷くと、ゆっくりと服を脱
ぎ、上半身だけ裸になった。歳に似合わない引き締まった筋肉が晒される。老師
は黙ってしばらく純平の体を観察する。そして、
 「ほう、変わった筋肉の付きかたをしとるな。…一体どんな功夫を積んできた
のですかな?」
 「……実は以前事故に遭いまして、その時に人工の筋肉を少し移植されました」
 「…なるほど」
 老師はうんうんと頷き、にっこりと笑った。
 「いや、申し訳ない。気を悪くしないでください」
 「いえ…」
 純平はさっさと服を着る。老師に体の事を訊かれて内心かなり焦ったが、養成
所時代に教わった『嘘を信じ込ませたければ、真実の部分も混ぜろ』という言葉
通りに嘘と真実を混ぜた答えが、上手く老師に信じ込ませたようだ。
 安堵する純平をよそに、老師は自分の弟子たちを見た。弟子の兄妹が何か言い
たそうにしていることに気づいたからだ。
 老師は頷いて、言葉にするよう暗に促す。
 「ぜひお手合わせを」
 メイレンが一歩前に出て純平に願い出た。老師は面白そうにニコニコと笑いな
がら、
 「いかがですかな? もちろん、無理にとは言いませんよ」
 純平は少し困ったが、メイレンの真摯な眼差しを見て断ることができなかった。
それに、中国武術の使い手と拳を交えることにとても興味がある。軽く頷いて承
諾する。
 「ええ、私でよければ…」
 チョッキを脱いで、チョッキに挟んでいた帽子ごと下に置く。軽く息を吐いて
気持ちを切り替えたあと、メイレンの方を向く。
 メイレンはすでに準備を終えていた。円を描くような独特な構えで純平の方を
見ている。
 純平も構えをとった。普段と同じ、バランスのとれた構えだ。
 1分ほど、2人は構えたまま動かない。お互いの手の内が読めていないため、
慎重になっているからだ。
 先に動いたのはメイレンだった。メイレンは無駄が全く無い動作で純平に近づ
くと、素早く拳を突き出す。純平は一歩後ろに下がりながら、メイレンの突きを
片手で受け流す。
 (颯樹さんとはまた違ったタイプの人だな)
 2人を比較しながら、メイレンの攻撃をかわしていく。…と、メイレンの動き
が不意に止まった。
 「真剣にやっていただきたい!」
 メイレンが怒気を発して言った。純平は「う…」とたじろぐように困る。相手
に障りがないよう言葉を探していると、今度は老師が口を開いた。
 「なにも、労わるだけが優しさとは限らない。真剣に相手と対することも敬意
を示すこととなる」
 老師が笑顔で諭すように言う。純平は少し考え込んだが、やがて、何かを吹っ
切ってメイレンを真っ直ぐに見る。
 ゆっくりと、純平は構え直した。
 「…行きます」
 メイレンもその言葉に頷き、構え直す。
 今度は純平が先に動いた。メイレンもすぐに反応するが、純平が繰り出した突
きを止めることはできない。体勢を無理やり崩してでもかわそうとするが、純平
の拳はメイレンの身体に触れることは無かった。
 純平の拳はフェイントで、隙が出来たメイレンの横から肩での当身を入れる。
メイレンは強い衝撃を受けて、片手を地面につけた。それでも地面を払うように
蹴り、純平の足元を狙う。
 だが、純平は寸前でかわすと、追い討ちの蹴りをメイレンに繰り出そうとする。
が、純平は横から急に気配を感じ、考えるよりもまず後方に飛びのいた。それと
同時に、元居た場所をシリョウの拳が襲う。
 シリョウも、内心手合わせをしたくてウズウズしていたようだった。そして、
妹よりもこちらの方が上だと知って、たまらなくなって参加したらしい。こちら
を真っ直ぐ見て構えるシリョウ。
 純平はそう判断すると、2人に戦意を向けることで2対1の手合わせを無言で
承諾した。メイレンも気づき、最初は驚いた表情を見せたものの、すぐに表情を
戻して純平を見る。
 老師はというと、その様子を楽しげに見つつ、近くに転がっていた丸太に腰を
おろした。手合わせを止める様子はない。
 (相手が『人間』だからって気を抜くな!)
 シリョウの鋭い蹴りをかわし、メイレンの素早い突きを受け止めながら、自分
に言い聞かす。実際、兄妹の実力は高く、異次元戦士養成所に入る前の自分だっ
たら1対1でも負けていただろう。こちらの攻撃も、兄妹はすんでのところでか
わし、すぐさま攻撃に転じてくる。さすがに以前戦ったオタク兄弟よりは劣るが、
それでも油断はできなかった。
 一進一退の攻防は続く。兄妹の使う武術は中国武術の中でも内家拳の一派のよ
うだと純平は感じた。書籍などによる知識しかないが、気の込め方、使い方が実
に見事だ。よほど重点的に鍛えられたのだろう。そして手技・足技のどちらも大
体均等に使うようだ。投げも極めもあるようで、どんどんと狙ってきている。
 「もう、いいでしょう」
 シリョウの蹴りを片足で、メイレンの拳を片腕で同時に受けた時、老師の一言
が3人の動きを止めた。少しの間のあと、兄妹が離れて純平に一礼する。純平も
礼を返した。
 「素晴らしい手合わせでした」
 丸太から腰を上げて、三人へと歩いていく老師。兄妹は数歩下がって直立不動
になった。
 老師は純平の前に立つと、何度かゆっくり頷いたあと、口を開いた。
 「さすがは桂蔵殿のお弟子さんですな。素晴らしいお手前でした。…しかし、
それにしては桂蔵殿の武術とは違うような…」
 「いえ、お…私が、今まで身につけた武術を全て組み合わせた自己流のもので
す」
 「なるほどなるほど。通りで」
 老師は興味深そうに、笑顔で何度も頷いた。
 「…おっと、長く引き止めてしまったようで、すいませんでした。どうぞ、ご
自由に離れをお使いください」
 頭を下げたあと離れの一室を手で指す老師に、純平も慌てて頭を下げた。早速
荷物を置きに行こうとした純平だったが、背中越しに老師の声が動きを止めさせ
た。
 「…手合わせを見て気になりましたが、貴方には心の迷いがあるようです。バ
ンスを上手く保つことです」
 振り返った純平だったが、老師はすでに弟子の兄妹を連れて向こうへ歩いてい
く最中だった。
 (……迷い…?)
 純平はしばらく老師の言ったことを考えたが、やがて、考えるのを止めて離れ
の方に歩き始めた。
 

 
 荷物を置いてすぐ老師の家を出て、純平は街にある屋台で食事を摂っていた。
炒飯を食べながら、片手で雑誌を読んでいる。
 (…なるほどねぇ)
 屋台に来る途中で買った格闘技雑誌の記事の中に、わずかながら先ほどの兄妹
のことが載っていた。なんでも、先日行われた小さな武術大会で優勝したそうだ。
 (その他のことは載ってないのか)
 色々とページをめくって探してみたが、その他に兄妹についての記事は無かっ
た。本をカウンターに置き、雑誌と同じく途中で買ったペットボトルのオレンジ
ジュースを一口飲む。
 詳しくは知らないが、昔、師である桂蔵が中国に武者修行に来た際、老師と出
会ったという。たちまち意気投合して、少しの期間共に修行し、武術交流をした
…と、颯樹から聞いた。その頃から、老師は武術の達人であったらしい。
 聞いた話では、桂蔵と老師の2人で暴走族の1つを壊滅させたこともあるとか
ないとか。
 そんなことを思い出しつつ、そろそろ食べ終えようかという時、背後が少し騒
がしくなった。顔だけ横を向いて背後を見てみると、若い男が通行人を撥ね退け
ながら、こちらの方へ走ってくる。
 その後ろには追いかけているらしい人間たちも居る。誰かが「ひったくりだ」
と言ったのを、強化されている純平の耳が聞き取った。
 純平は手元の雑誌を片手で掴み、間もなくすぐ近くまで来た男の顔に投げつけ
た。凄まじい勢いで顔面に雑誌が直撃した男は、痛みと衝撃で仰向けに倒れてし
まった。
 すぐさま追いついた人間たちに捕らえられる状況を純平は見ず、さっさと炒飯
を完食して代金を払い、屋台を出た。
 (日本に比べて、やはり治安は良くないようだな)
 歩きながらオレンジジュースを飲み干し、近くにあったコンビニの前にあるペ
ットボトル用のゴミ箱に空のペットボトルを捨て、再び歩き出す。
 やがて、大通りの前に立ち、目の前を通り過ぎていく車群を眺めていた。
 しばらくするとタクシーが一台純平の目の前で止まり、後部座席のドアがゆっ
くりと開いた。純平は驚いた風もなく、さっさと車内に乗り込んだ。ドアが閉ま
り、車は発進する。
 「どうも、ご苦労様です」
 純平が中国人らしき運転手に声をかけた。
 この男は異次元警察に所属している忍者集団・蒼魔の忍である。蒼魔の忍たち
は様々な世界に散らばっており、情報を収集して異次元警察関係者のフォローを
している。純平が担当しているこの世界では、この忍が情報収集にあたっている。
 忍は前を見て運転したまま口を開く。
 「…近頃、この地域で行方不明者が続出しています。何かの事件に巻き込まれ
た形跡は無く、行方不明になる理由も無い者たちばかりだそうです。この国の警
察がいくら捜索しても何の情報も得られていないようです。まあ、この辺の警察
はそれほどやる気が無いようですが」
 「…やっぱり詳しく調べる必要がありそうですね」
 横の窓から外を眺めつつ言う純平。忍は前を見たまま頷いた。
 「ええ、私もこれから本格的に動きますので、何か分かればまたお知らせしま
す」
 「お願いします」
 「…ところで、イオルラという女性を憶えていますか?」
 尋ねられて、純平はすぐに思い出した。以前、仕事で護衛をした、別世界の対
妖魔の反乱組織のリーダーだ。
 「ええ、憶えていますよ」
 「妖魔との戦いに終りが近づいているようです。妖魔の方がかなり劣勢とのこ
とです」
 「そうですか!」
 思わず小さくガッツポーズを取る純平。気高い生き方をしようとするイオルラ
の姿が頭に浮かぶ。
 忍は相変わらず表情を崩さず運転している。しばらくすると道路脇に寄って停
車した。
 純平は「では、また」と挨拶すると車を出た。間もなくドアが閉まり、車が走
り出していく。
 軽く見送ったあと、イオルラに負けまいと気合を入れた純平は、通行人たちに
混ざり、調査に乗り出した。
 


 狭い通路に靴音が響く。無機質な通路に、暗く照らす小さな照明群が、靴音の
不気味さを煽っている。
 靴音の主、スンは険しい顔で通路を歩いていた。小柄な体を黒いマントで覆い、
時折手を握ったり開いたりを繰り返す。
 しばらく進むと、通路の前方の風景が変わった。片側が壁ではなくなり、鉄格
子になっていく。そこは幾つにも別けられた小さな牢屋となっている。
 スンは牢屋の1つの前で立ち止まり、体を向けた。牢屋には憔悴しきった十数
人の男たちが閉じ込められていた。狭い空間で押し合うように座っている。それ
を見たスンの顔が邪悪に笑う。
 男たちはボロボロの服を着ていて、スンに気づくと押し合いながら鉄格子に詰
めかける。
 「助けてくれよぉ、スン!」
 「ここからら出してくれぇっ!」
 恐怖に顔を歪め、口々に目の前の男、スンに懇願する。
 しかし、スンは牢屋内の男たちに対して一欠片の憐れみも、同情も無かった。
あるのはただひとつ。
 「昔、俺が似たようなことを言った時、貴様らはどうした?」
 スンは唇の両端が切れそうなほど喜びを顔に広げた。鉄格子に顔をつけ、男た
ちに喜びで溢れる顔を近づける。
 「貴様らのしたことを、俺は一時も忘れたことは無いぞ」
 男たちは皆うつむき、押し黙った。スンは鉄格子から顔を離す。
 「だが、貴様らへの憎悪のおかげで俺は強くなれた。…その礼にチャンスをや
ろう」
 スンは鉄格子の間に右手を真っ直ぐ差し入れた。
 「この腕を掴むことができた奴だけは、助けてやろう」
 男たちは少しの間、スンとその腕とを交互に見る。すると、男の1人が恐る恐
るスンの腕に近づき、片手で触れ…ようとしたが、まるで水を掴むようにすり抜
けてしまった。他の男たちもその後、我先にと必死でスンの腕を掴もうとするが、
スンの腕は触れようとする部分だけ水のように変化してすり抜け、誰も『掴む』
ということをできない。
 その様子をスンは心の底から笑い眺めていた。やがて腕を引き戻し、引きとめ
ようとする男たちから体をそらせて通路の先を見る。
 「…安心しろ。もう少しすれば、死んだほうがマシと思うようになる」
 スンは絶望に沈む男たちを残し、大声で笑いながら通路を歩いていった。



 純平は街中を歩き回っていた。武術家をさらっている者たちの情報を掴むためだ。
 人ごみの中をゆっくり縫うようにして進み、あちこちに目をやる。中国語の文字
がどこを見ても視界に入ってくる。観光客が来るような場所なら、他国の言語も多
少目に入るはずだが、ここはそうではないようだ。すれ違う人も皆、地元の者ばか
りらしい。
 昔ながらの建物と近代風の建物がごちゃ混ぜになったような景色を時折見つつ、
街を走り抜ける車の走行音を耳にしながら歩いていると、裏路地へと続く小さな脇
道を見つけた。
 何故か気になった純平は、脇道の入り口の周囲に不法駐輪している自転車をかき
わけて入っていく。
 (何故武術家を狙う? 自分たちの手先にするためか?)
 道というより建物と建物の隙間のような所をすり抜けていく。と、先の方から気
迫のこもった声や激しい物音が聞こえてきた。純平はただならぬ異変を感じ、駆け
出す。
 そこは広場のようになっていた。ゴミやガラクタが散乱しており、地元民でも
使うことはほとんど無いようだ。
 純平の目に入ったのは、覆面の人間たちから怯える男を守るため戦うシリョウ
の姿だった。状況はよく理解できないが、純平はすぐさま駆け出して広場に出る。
 「いぃぃやっ!」
 純平が覆面の1人に飛び蹴りを喰らわせて戦いに乱入した。その場に居た者全員
の視線が一瞬、純平へと集まる。
 「助太刀する!」
 戦闘の構えを取り、近くに居た他の覆面の1人を叩きのめす。そしてシリョウた
ちのそばに寄る。
 「助かる!」
 シリョウの声を横に聞きながら、純平は敵と向かい合う。叩きのめしたはずの者
は大したダメージを負っていないようで、すぐに戦闘に復帰する。そして覆面の者
たちはどこからともなく青龍刀やらナイフやらを取り出して、再び純平たちへと襲
い掛かった。
 武器対素手で苦戦するシリョウは、近くに落ちていた壊れかかった傘を拾い、棒
のようにして使い始めた。それを見た純平も、負けじと敵の刃群をかわしつつ何か
ないかと探す。
 すると、シリョウの後ろで怯えていた男の足元に目が留まった。
 「そこのハンガーをくれ!」
 男は純平の言葉になんとか反応し、足元に落ちていたプラスチックのハンガーを
純平に抛る。それをろくに見ずに純平は受け取り、目の前の敵の脳天に打ちつけた。
しかし、プラスチックのハンガーは簡単に壊れ、相手にダメージを与えられなかっ
た。純平は反撃する敵の攻撃をかわしながら再び男の方を見る。
 「ちがうっ、木のやつ!」
 男は言われた通り、今度は木製のハンガーを足元から拾って純平に抛る。純平は
再び受け取ると、ハンガーで敵の側頭部を殴りつけた。敵はよろめき、ハンガーは
壊れない。
 (よしっ)
 純平は気をよくし、ハンガーの端に指を引っ掛け、高速で回し始めた。そしてヌ
ンチャクのように扱いだす。
 敵に対したダメージは与えられずとも、純平たちも武器を手に入れたことで明ら
かに勝負の流れは決まった。覆面の者たちはじりじりと後退していくと、怯える男
のことは諦め、路地を走って大通りに向かう。
 純平もすぐに後を追った。シリョウも追うとしたが、まだ怯えている男がシリョ
ウの足を掴み、1人にしないでくれと必死で止める。
 覆面の者たちは大通りに出ると、待ち構えていた車に乗り込み、急発進して駆け
出した。純平も大通りに出て走り去る車を見たあと、何かないかと探す。そして、
持っていたハンガーを放り捨てて、無断駐輪してあった自転車の一台に跨った。
 「逃すかあ!」
 こちらも急発進して車道の端に出て追いかける。脚の人工筋肉が最大まで活動し、
凄まじい速さで爆走する純平。何台もの車を追い抜き、同じく他の車を追い抜いて
いく目標の車を追い続ける。
 ある程度距離が縮まってきたところで、純平はチョッキのポケットから小さい物
体を取り出し、走りながら目標の車に投げつけた。物体は車の後部になんとか届き、
ピタッと張り付く。
 しかし、それを確認するのと同時に自転車のチェーンが外れた。純平の人外の脚
力に耐え切れなくなったのだ。
 バランスを崩し、歩道側の方へ大きく転倒する純平。見つめる通行人たちには気
にもせず、走り去った車の方角を見ながら「くそっ」と言葉を漏らした。



 男は座り込んだまま、恐怖に身体を震わせていた。宙を見つめて、ボソボソと何
事かをつぶやいている。
 「…アイツに…アイツに殺される……アイツに…」
 「さっきからこの調子だ」
 シリョウは男を見たまま純平に言った。続けて男に尋ねる。
 「アイツとは誰だ?」
 しかし、男は同じことをつぶやくだけで、シリョウの問いには答えなかった。代
わりに純平は男の目の前にしゃがみ、真正面から男を見て、両手で男の両肩を掴ん
で激しく揺さぶる。
 「おいっ、アイツって誰だ!?」
 揺さぶり続ける純平の腕をシリョウが掴み、止める。純平は我に返ったように、
バツが悪い顔をして立ち上がった。
 「…すいません、少し頭に血が上ってしまいました」
 シリョウは特に気にした風でもなく、淡々と言葉を返す。
 「しばらくは何をやっても無駄だと思う。とりあえず、病院に連れていく」
 純平は頷いた。そして、ふと気になったことをシリョウに訊く。
 「…ところで、何故、貴方がここに居たんですか?」
 シリョウは、別にもう1つある路地を指差しつつ、
 「そこを抜けて少し行くと、私の家がある」
 純平は納得すると同時に、そのエリアがどちらかというと貧民街のようになって
いたことに気づく。兄弟の素性が気になったが、訊いてはいけないことのような感
じがして、もうその話題に触れないことにした。震え止まぬ男、シリョウとを順番
に見て、
 「じゃあ、お願いします」
 シリョウは「分かった」と言って、ゆっくりと男を立ち上がらせると、肩を貸す
ようにして連れて行く。男はほとんどされるがままだ。
 シリョウたちが居なくなってから少しすると、純平は辺りを見回して人の気配が
無いことを確認し、左手に埋め込まれたクリスタルを口元に近づけ、意識を集中す
る。
 「こちらブラスター、本部へ、応答願います」
 『なにー、どうしたの? じゅんじゅん』
 クリスタルから、若い女性の声が返ってきた。予想外の相手からの返事に、思わ
ず純平の顔が苦くなる。
 「げっ…」
 『ちょっと、じゅんじゅん! 今「げっ」て言ったでしょ!?』
 「す、すいません、ところで、リューラさんは今居ませんか?」
 純平は素早く話を変えた。今純平が話している相手はアルバイトとして(特例で)
働いている女子高生のエミーだ。エミーはとある世界のお姫さまなのだが、見た目
と話し方は純平の苦手なガングロ女子高生である。純平が言ったリューラとは、本
部のオペレーターの1人で、面倒見の良い女性であると共に純平他数人の担当オペ
レーターでもある。
 『リューラは今居ないよ』
 少し不機嫌そうにエミーは答えた。純平はエミーの機嫌を直すことよりも、仕事
の方を優先させる。
 「…じゃあ、あとでリューラさんが戻ってきたら伝えてほしいんすけど…」
 『だったら、エミーに言ってよ。じゅんじゅんのためだったらなんでもやるよ!』
 「いやあ、あの…その…」
 歯切れが悪く、言いよどむ純平にエミーは自信満々に言う。
 『大丈夫! 最近色々勉強したんだから』
 純平は帽子の上から頭を軽く掻いて悩んだ後、大きく息を吸った。
 「G1においてたった今、センサーTTを使用。目標はG1における一般車。そ
ちらで行方を追って、情報を求む」
 矢継ぎ早に淡々と純平が言う。普段、リューラにはこういう風に伝えているのだ。
言い終わって少しの間のあと、エミーが答える。
 『…えっと、どういうコト?』
 困ったような(実際に困っているのだろう)声で尋ねてくるエミーに、純平は一
瞬スッキリしたような表情をしてすぐ戻し、1度、わざとらしく咳払いをして言い
直す。
 「…僕の居る世界でTTという発信機を使いましたので、アルディオスを経由し
て本部からその行方を追ってください」
 『わ、分かった!』
 通信が切れ、辺りが再び静かになった。純平は改めて周りに人気が無いかを確認
する。そしてため息をついて、近くの壁にもたれかかった。



 スンは部屋の奥に設置された大きなモニターを、少し離れた位置から見ていた。
 モニターの周りにはパソコンなどの機械が置かれ、白衣を着たのっぺらぼうの
人間のような者たちが作業をしている。
 モニターには、白いローブを着た老婆がスンの方を見ている映像が映っている。
 『作業はどれくらい進んだのじゃ?』
 「7割ほど…といったところだ。実験体の材料集めはほとんど終わった。これ
から実験を始める」
 めんどくさそうに答えるスン。老婆の顔が少し歪んだ。
 『それは結構じゃが…いいか、スン。お前を拾って力を与えてやったのはこの
わしじゃ。態度に気をつけよ!』
 「…この計画が上手くいったら、この世界は俺がもらうという契約は絶対に守
ってもらうぞ」
 スンは言うだけ言って強引に映像を切った。モニターが黒く染まる。
 「ハッ、今に見てろよバカどもめ!」
 爆発しそうな苛立ちを、近くの壁に自分の拳を強く打ちつけることでなんとか
抑える。打ちつけられた部分の壁が不気味に歪んだ。
 白衣を着た者たちが音に反応し、一斉にスンの方に振り返った。
 「作業を続けろ! これから実験を開始するっ」
 白衣を着た者たちはスンの怒声に従い作業に戻る。スンは怒りと喜びで狂った
ような表情になった。
 「待ちに待ったぞ、この時を! いよいよ復讐の時だぁ!」
 スンは叫んでその部屋を後にした。



 夜中、純平は老師の家に戻ってきた。少し休もうと、貸してもらった離れの小
屋に向かう。
 …と、その時、純平は庭の方からかすかに何かの音がするのを聞き取った。
 とりあえず気になったので、庭のほうへ向かう。
 庭を覗いてみると、シリョウの姿があった。シリョウは長時間、武術の鍛錬に
励んでいるようで、月の光と庭に置かれた蝋燭の明かりが、汗で濡れた服を照ら
している。
 しかし、シリョウはそのことを気に留めず、自分の動きに集中しているようだ
った。
 (…なるほど)
 純平は食い入るように観察した。昔から興味があった中国武術を今、この目で
じっくりと見ているのだ。内心は興奮しきっている
 シリョウは円を描くようにゆっくりと移動しつつ、様々な構えを行っていく。
 シリョウが学んでいるのはやはり、中国武術の中でも内家と言われる武術の
ようだ。脚を使った動きや手の動作が円に深く関わっていることが見てとれる。
 (太極拳? …いや、八卦掌か?)
 自分の持つ知識の中で照らし合わせてみたが、これだと確信できるものは無か
った。元々、中国武術を生で見たことはほとんどなかったせいもあるのだが。
 シリョウは動きを止め、構えを解いて呼吸を整える。と、棒立ちでこちらを観
察する純平に気づく。
 純平は黙って観察していたことがバレて、少し気まずそうに笑顔で会釈しなが
らシリョウに近づいた。
 「すいません、こそこそと見てしまって…」
 謝る純平だが、シリョウは特に気にはしていないようだった。表情に変わりは
ない。
 「いや…それより頼みがある」
 「なんでしょう?」
 「ぜひ、日本の武術を教えてもらいたい。前から興味を持っていた」
 「…分かりました」
 純平は早速、武術の構えをとった。巳滄流古武術の構えで、片足を前に出しつ
つ腰を少し下に落とし、両膝を曲げることでさらに重心を下げ、地面にどっしり
と根を張る大木のような形だ。
 ボクシングなどのようにステップはせず、摺り足でゆっくりと移動する。敵を
想定しつつ移動しながら、突き・蹴り・受けを繰り出す。
 シリョウは純平の1つ1つの動きを真剣に観察していた。
 最後に、純平が気迫を込めて技を繰り出す。一歩前に踏み込みながら、片手は
仮想の敵の顎を、もう片方の手は腹部へと掌底の形で同時に攻撃する。
 少しの沈黙の後に純平は構えを解いた。一度大きく息を吐いてから、シリョウ
の方を見る。シリョウは初めて見せる満足そうな顔で純平へと近づいてきた。
 「今度は私が」
 シリョウは純平の前で息を整えると、腰を低くして気を練りだす。大地から力
を吸い取り、自分の力へと変えていく…そんなように見える。手は弧を描くよう
に動き、身体中のエネルギーを集中させていく。
 ドンッ!
 腰を低くした状態から目にも留まらぬ動きで一歩前に踏み出す。踏み込んだ音
が純平の耳に強く届く。と、同時にシリョウは集約したエネルギーを左拳に集め
て突き出していた。
 その態勢をしばし保った後に、シリョウは直立して構えた。
 1度呼吸を整えてから純平の方を見る。
 「…今のは、私が学んでいる武術の基礎の技の1つです。」
 「ぜひ、教えてください」
 シリョウは頷くと、もう1度構えなおす。純平も真似て構えた。
 その後1時間ほどかけて、純平はシリョウから基本の立ち方や技を教わった。
 教わったあとは、互いの流派による礼を交わす。武術を学ぶ者同士として心の
距離が縮まった2人は、満足そうに笑顔を見せた。



 夜遅く、巳滄流古武術の道場には明かりが灯っていた。
 静まりかえった道場の中に、1人、正座して目を閉じている人物が居た。
 70を超える年齢をものともせず、大きな柱のように真っ直ぐ、力強く座って
いる。肉体も、程よく付いた筋肉が道着の下から存在感をかもしだしている。
 この老人の名は巳滄桂蔵。江戸時代から続く、実戦の中で鍛えられた武術、巳
滄流古武術の現継承者である。
 桂蔵は静かに目を閉じている。と、そこへ1人の私服姿の若い女性がやってき
た。桂蔵の孫で弟子の1人である颯樹だ。
 「じ…先生」
 道場の内外で区別しているため、颯樹は普段の呼び方ではなく【先生】と言い
直し、呼びかけた。
 桂蔵は目をゆっくりと開ける。
 「先生、こんな夜中にどうしました?」
 言いながら、颯樹は桂蔵の正面に立つと、正座して見る。
 「……純平の事を思い出していた」
 「えっ…彼をですか?」
 思ってもみなかった答えに颯樹は驚いた。確かに最近、純平に頼まれて、桂蔵
に中国の友人宛に紹介状を書いてもらったのだが。
 「…そうだ」
 少しの間の後、桂蔵は頷いた。
 「純平は、私が今まで武術を教えてきた人間の中で、最も変わったタイプの男
だった」
 「…それはどういうことですか?」
 尋ねる颯樹から視線を外し、桂蔵は遠くを見、ゆっくりと話し出す。
 「…純平がこの道場にやってきて1年が経った頃か。私がお前や純平たち弟子
に対し『例えるならどのように強くなりたいか』と興味半分で尋ねたことがあっ
たが、憶えているか?」
 颯樹は少し考えてから首を横に振った。桂蔵はその答えを知っていたかのよう
に話を続ける。
 「お前は『虎のように強くなりたい』と答えた。確かに今のお前の拳は昔に比
べて虎のように力強く、獰猛でいて隙がない。言った通りになったな。そしてそ
の場に居た他の者たちも、口々に動物やその時有名だった格闘家などの名を挙げ
た。…だが、純平は…」
 そこで桂蔵は言葉を止めた。颯樹は催促するように「彼はなんと答えたのです
か」と訊く。
 「…純平は『風のようになりたい』と答えた。どういう意味で答えたのかは訊
かなかったが。…昔、とある有名な武術家が『水になれ』と言っていたが、風も
また良い例えだ。風は何者にも捕らえられず、何かに縛られることもない。1つ
の形に留まることもなく、常に流れていく。時に優しく、時に荒々しい。…もし、
純平が風のようになれたとしたら…」
 桂蔵は颯樹を見る。
 「武術家としても、人間としても、素晴らしい男になれるだろう」



 深夜、シリョウと別れたあとすぐにエミーから連絡があり、純平はエミーから
教えられた場所にやってきた。
 そこは、スクラップ置き場になっているようだった。縦3メートルほどの大き
な金網で厳重に周囲を固められているが、純平にとってはあまり意味の無いもの
である。
 純平は周囲を見回したあと、軽く膝を曲げて反動をつけ、勢いよく飛び上がる。
軽々と金網を飛び越えて、敷地内に入った。
 まず、近くの小さな建物へ向かう。窓は1つしかなく、仮設の事務所のような
感じだ。人気がなさそうなのを確認してから窓から中を覗く。中は大人が3〜4
人入ればもういっぱいというほどの狭さで、日ごろ人が出入りしているような形
跡は見られない。どうやら敷地の外に対するフェイクのようだ。
 今度は少し離れたところにあるボロボロの倉庫の方へ行く。地面を見ると、車
のタイヤの跡が倉庫の方へと続いているのが分かった。どうやら、本命はこちら
の方らしい。純平はゆっくりと倉庫へ近づき、倉庫の周りを調べる。窓が無いた
め中の様子は分からないが、外見では怪しい点は見られない。唯一ある大きな入
り口のシャッターは閉じられているが、トラックのタイヤの跡が確実に入り口へ
と伸びているのは確認できた。
 (…どうしたものかな)
 この敷地内の警備レベルが分からないため不用意な行動はできるだけ避けたい
が、シャッターを開けなければ中には入れないようだ。中に誰か居れば即座に見
つかってしまう可能性があるため、どうしてもためらいが出てしまう。
 (ええい、やらないで後悔するよりやって後悔だ!)
 覚悟を決めてシャッターをソロソロと開けていく。幸い、中には誰も居ないよ
うだった。
 (…これだ)
 中はがらんとしていたが、ただ、車が一台停められていた。純平はこの車に見
覚えがあった。車の周囲を見てみると、確かに、自分が付けた発信機があった。
 純平は発信機を回収してチョッキのポケットに入れたあと、倉庫の奥に目をや
る。奥には大きなエレベーターが一基設置されていて、今も頻繁に使われている
形跡が見てとれた。
 純平は一度周りを警戒したあとエレベーターに近づき、さらにもう一度周りを
警戒してから壁のスイッチを押す。純平がエレベーター横に張り付いて間もなく
エレベーターの扉が開く。中には誰も乗っておらず、確認した純平は乗り込んで
すぐ下へ降りるスイッチを押した。扉が閉まり、エレベーターは静かにゆっくり
と降りていった。



 「純平が昔、道場に通っていた頃、幼い時から武術を学んでいたお前と同等か
少し上の強さだった。それが何故か分かるか?」
 桂蔵に聞かれ、颯樹は一瞬とまどったが、少し考えて答えた。
 「あいつはこの道場に来る前はずっと空手をやっていたから、それで…」
 「いや、違う」
 桂蔵は静かに首を横に振った。
 「純平にはお前に無い強さがあった。お前にも純平には無い強さはあるがな」
 少しの沈黙の後、颯樹は桂蔵に尋ねた。
 「彼の強さとはなんですか?」
 「1つ目は、基本を一番大切にしていることだ。何をするにもまずは基本が土
台となる。土台がしっかりしていれば、応用もできよう。あいつが他流の技を上
手く扱えるのもそれが理由だ」
 桂蔵はそこまで言うと、一旦言葉を止め、立ち上がる。そして続きを語りだし
た。
 「2つ目は下半身の強さだ。純平は確か一時期、野球をやっていたな。それが
さらに腰を鍛え、腰の上手い使い方を教えたようだ。突きや蹴りは腰の使い方次
第で速さや威力がいくらでも増す。体捌きなども同様だ」
 純平のことを思い出しているようで、桂蔵の口がまた止まる。ほんの少しの間
の後に、颯樹がせかすように「もう1つは?」と尋ねる。
 「そして3つ目。純平は自分に良いと感じた物はなんでも取り込み、己の血・
肉としていける柔軟さがある。様々な武術に触れ、自己流にして磨いていく…純
平の戦い方は常に進化していくのだ。…良い意味でも、悪い意味でも」
 言われてみれば確かに、桂蔵の純平に対して述べたことについて心当たりはあ
った。なるほどと、納得する。
 「…しかし…」
 桂蔵が遠くを見て口を開いた。
 「……純平の精神の危うさが、今も気にかかる。彼はあまりにも心の弱さが目
立つ。…必死で押し隠しているが」
 颯樹は桂蔵の言葉を聞いて初めて考えた。純平は確かに他人の事を思い過ぎ、
1人で物事を抱え込んでしまう癖などがあった。
 「とにかく、無事で居てもらいたい。可愛い弟子の1人だからな」
 桂蔵は道場の窓から見える月を、もう1度眺めた。


 地下数階まで降りてきたエレベーターは、止まるとゆっくりと扉を開けた。エ
レベーターの中には誰もおらず、しばらくすると、扉が閉まろうとする。
 と、エレベーター内の天井の一部が外れ、そこから純平が降りてきた。純平が
エレベーターから出ると同時にエレベーターの扉は閉まる。純平は周りを見て人
の気配を探り、誰も居ないことを確認すると、等間隔で天井のライトから照らさ
れている無機質な通路を進もうとする。と、
 『じゅんじゅん。ねぇ、じゅんじゅん』
 クリスタルが青く点滅して、エミーの声が聞こえてきた。純平はクリスタルを
口元に近づける。
 「なんっすか?」
 『さっきから、じゅんじゅんの位置が確認できなくなったんだけど、大丈夫?』
 不安そうなエミーだったが、純平の方は合点がいった。この周りの壁は特殊な
素材で出来ていて、センサー類の電波をある程度消してしまうのだろう。だから、
車に付けた発信機も無効化されたのだ。
 ギア・クリスタルでの通信は電波などとは違うので問題は無いようだが。
 「今のところ大丈夫っすよ。何かあればこちらから連絡しますので」
 それだけ言うと通信を終え、前に進む。
 姿勢を若干低くし、臨戦態勢をとりながら入り組んだ通路を油断なく進んでい
くと、曲がり角から不意に出てきたこの施設の見張りらしき迷彩服姿の男1人と、
真正面から目が合った。2人の距離は6メートルほど。
 (やべっ)
 男は持っていたアサルトライフルを純平に向けた。それと同時に純平は斜め前
方の横壁に飛び、放たれた銃弾をかわしつつ、壁を力強く蹴り、再び斜め前方の
反対の横壁へ飛ぶ。男との距離が大分縮まったので、そこからは男へと飛びかか
り、銃の照準を合わせられる前に側頭部に飛び蹴りを喰らわす。
 強化筋肉を持つ純平だからこそ可能なアクションだった。
 純平の強力な蹴りを受けて意識を失って崩れ落ちた男は、のっぺらぼうの木人
形へと姿を変えた。どうやらナイトメアの尖兵らしい。
 銃声が響いたことで、異変に気づいたこの施設の関係者が騒ぎ出すのは時間の
問題だ。純平は急いで施設の探索を再開する。
 (次に見つけた奴を尋問してみるか?)
 そう考えながら狭い通路を進むが、何故か、特に騒がしくなってはいないよう
だった。不審に思いながらも進んでいた時、背後から気配を感じて、前に飛び込
んだ。純平が元居た場所を男の鋭い蹴りが襲う。
 純平は転がりながら体勢を整えると、立ち上がって構える。元居た場所に立っ
ている男は、狂気染みた形相で純平を見ていた。
 「…貴様、良い勘してるじゃないか」
 純平は男のただならぬ気配を感じ取る。身体中の筋肉が少し強張った。
 「俺の名はスン。貴様は俺の部下になれ。そうすればやりたい放題だ。勘違い
したそこら辺の人間どもを好きなだけ殺れるぞ」
 スンは威圧するように、一方的に話を進めようとする。だが、純平はそれを許
さずにハッキリと言葉を返す。
 「勘違いしてるのはお前だ」
 「…やはり貴様もそこら辺に溢れた人間と同じか。俺と似たモノを感じたんだ
がな」
 「一緒にするな、くそったれが」
 スンが殺気を撒き散らして駆け寄ってきた。純平も「烈破!」と叫びつつ、前
に出る。
 鋭いスンの拳の一撃を、青い粒子に包まれた純平が受け流す。そして粒子が消
えてブラスターになった頃には反撃の拳がスンの腹部にめり込んでいた。
 腹部を折り曲げたスンに追い討ちの拳を撃ち込むブラスターだったが、スンは
上手くその拳を受け流した。どうやら中国武術を使うようで、攻撃・防御共に巧
みにこなしてくる。2人の拳・蹴りによる攻防はしばらく続いたが、互いに大き
なダメージを与えることはできない。スンは見た目は人間だが、力や反応速度は
普通の人間のそれを遥かに上回っている。
 (イチかバチかだ!)
 2人の距離が少し開いた時、ブラスターが前に飛び込みながら前に出した足側
の拳をスンの顔面に勢いよく繰り出す。受け流そうとしたスンだったが、ブラス
ターの拳は受け流される寸前で止められた。フェイントである。
 隙が出来たスンの腹部にブラスターのもう片方の拳が突き刺さった。若干身体
を折り曲げたスンに追い討ちをかけて、フェイントで使った拳をスンの顔面に叩
き込む。流れるようなこの連撃を受けて、さすがにスンは吹き飛んで壁にめりこ
んだ。この間の時間はわずか3秒ほど。
 (炎轟四式の二、叢雲の剣。なんとか上手くできたか)
 少し前の一ヶ月の修行で身につけたばかりの技だったが、上手くいったようだ。
ブラスターの拳には確かにスンにダメージを与えた手ごたえがあった。
 スンが、めりこんだ壁からユラ〜ッと不気味に出てくる。ダメージは残ってい
るようだが、致命的にはなっていないようだ。歪んだ笑みを浮かべるスン。
 「いいだろう、弄りながら殺してやる。 …いくぞおぉぉぉ!」
 スンは両腕を広げてブラスターに向かってくる。今までの武術の構えを捨てて
のやぶれかぶれに見えた。
 確かに、先ほどどは違い、スンの攻撃にキレが無かった。『とにかく相手の身
体に触れればいい』というような動きにとまどい、ブラスターは防御を怠ってス
ンの手を身体に招き入れてしまう。すると、
 「がはぁっ」
 スンの手がブラスターの体に触れた瞬間、ブラスターの体に強い衝撃が走った。
ブラスターは見えない力で吹き飛ばされて、通路の壁に叩きつけられた。
 間もなく、よろめきながらブラスターが立ち上がる。
 (なんだ今のは! 身体の内部を直接殴られたようなっ?)
 驚くばかりのブラスター。スンは見下した目でブラスターを眺める。
 「どうした、命乞いをする気になったのか? まだこれからだぞ」
 スンが再び襲ってくる。ブラスターはスンの攻撃をかわしつつ自分もスンに拳
を突き刺そうとする…が。
 (なにっ?)
 ブラスターの拳は、まるで水を殴ったように、スンの体をすり抜けた。驚いて
動きが鈍ったところにスンの手が伸び、ブラスターの体に触れる。そしてまた衝
撃がブラスターを襲った。
 再び吹き飛ばされて壁に叩きつけられるブラスター。叩きつけられた壁にヒビ
が入り、今にも崩れそうになる。
 「肉体を改造したことにより強化された『気』、そして全ての攻撃をかわすこ
の身体。どうだ、お前もこの力が欲しいだろう? 俺とナイトメアに忠誠を誓え
ば、もっともっと強くなれるぞ」
 ダメージを受けつつも戦闘態勢を再びとろうとするブラスターにスンが言った。
 「くそったれがっ」
 ブラスターは拳を強く握って、スンへと駆けていく。高速移動でブラスターの
姿が消える。
 とても素早い飛び蹴りを放つブラスターだったが、スンの身体をすり抜けて着
地した。隙が出来たところでスンの手が、ブラスターへ素早く触れようとする。
 片方の手はかわしたブラスターだったが、もう片方の手が胸に触れる。途端に
衝撃がブラスターの体内を襲った。
 ブラスターは後方に仰向けに倒れた。身体から火花が飛び散る。
 「くっくっく。しばらくそこで足掻いていろ。俺はこれからクズ共の身体を弄
ってくる…」
 スンはブラスターに背を向け、通路の先へ走っていった。ブラスターはよろめ
きながら立ち上がり、スンを追うとする。が――
 急に空間を揺れが襲った。前後の通路が、突然降りてきた壁で塞がれてしまっ
たのだ。
 「レーダー・スコープ!」
 ブラスターの目が青く光る。コンバットスーツに内蔵されたレーダー機能が作
動し、ブラスターの脳に様々な情報がもたらされた。前後の通路を塞ぐ壁を含む
周囲の壁は、そう簡単には突破できないほど分厚いようだ。グランランサーでも
無理だろう。
 ブラスターは左手のクリスタルに意思を込めて叫んだ。
 「ドライガー!」
 
 次元の間を飛んでいた超次元戦闘母艦アルディオスは、ブラスターの意思力を
感知し、ドックの発進口を開けた。それと同時にドックで待機していた、中央前
部に巨大なドリルを付けた戦車が起動する。戦車は自動操縦で発進し、アルディ
オスを出て次元の間を飛んでいく。

 ブラスターが叫んで1分もかからない内に周囲が振動し始め、間もなく、横の
壁を大きく開けて、ドリルの付いた戦車が姿を現した。これが地底・海底などで
の活動を得意とする次元マシン、ドライガーだ。
 ブラスターはドライガーに乗り込み、通路を塞ぐ壁をドリルで突破し、さらに
進んで敵が逃げ込んだ隠しフロアへと突っ込む。
 最後の障壁を砕き抜けて、ドライガーの前半分が大きなフロアに顔を出した。
 フロアの奥で巨大なコンピューターを操作しようとしていたスンが忌々しげに
振り返る。
 「ウジむしがぁ…」
 苛立ちを抑えきれずに、スンは近くの壁に拳を打ちつけた。
 ブラスターはドライガーから降りて、スンと再び対峙する。
 「今度こそ殺してやるぅ…」
 スンは怨念を口から吐き出すように言うと、ブラスターへと駆けていく。ブラ
スターもスンへと駆ける。
 身体に触れてこようとするスンの腕をブラスターは捌き、捌きながら攻撃して
くるブラスターの手や脚をスンは受け流す。
 一進一退の攻防はしばらく続いたが、先に隙を見せたのはスンだった。ブラス
ターの強烈な拳による一撃がスンへと当る…はずだったが、スンの身体をすり抜
けて、今度はブラスターが隙を作ってしまう。「しまった!」と思う時間もなく、
スンの手がブラスターの身体に触れる。
 衝撃がブラスターを襲い、吹き飛ばそうとする。ダメージで体から火花を散ら
しつつ、なんとか踏みとどまろうと両足に力を込めたが、床を滑るように数メー
トル後方へと押された。さらに、体勢を整えるよりも早く、スンが近づいてくる。
 スンがブラスターの首を両手で掴み、力強く絞める。振りほどこうと、スンの
絞める腕を両手で攻撃したり、胴体に何度も蹴りを入れてもがくブラスターだが、
スンは絞める力を弱めない。ブラスターの首部分がメキメキと悲鳴を上げ、意識
が薄れ始めてくる。その中で、左手をスンの方へ真っ直ぐ向けた。
 左手から、薄青く発行する円の力場が発生して、スンを後方に大きく吹き飛ば
した。ブラスターはその場で片手と両膝を地面につき、咳き込みながらもう片方
の手で首を抑える。
 その時、ブラスターはある疑問を持った。
 ≪―――なぜ、首を絞められている間は奴の体に触れることができたのか?≫
 ブラスターは瞬時に考えてある賭けに出た。勢いよく立ち上がる。
 「てめぇに何があったか知らねぇが…」
 体勢を立て直すスンを見据えるブラスター。
 「やり返した時点で、お前はもうそいつらと同類だ」
 スンの表情が激怒に包まれた。ブラスターはそれを無視して意識を集中する。
 「レーザーアーム!」
 左手で右腕をなぞり、エネルギーを付与すると、ブラスターは右足を前に出し
て改めて構えをとった。左足を前にした今までと違う、腕の位置などが攻撃しづ
らい少し異質な構えだ。
 「…巳滄流古武術、葵芭蕉(あおいばしょう)の構え」
 「どいつもこいつも俺を否定しやがるぅ・・・そしてお前もぉ! お前に俺の、
お前に俺の、おまえにおれのぉぉっ!」
 凄まじい形相で暴れるスンを無視するかのように、ブラスターは構えたまま動
こうとしない。
 「お前に俺の気持ちが分かるかぁっ!」
 スンが暴れるのを止めて駆け出し、向かってくる。しかし、それでも尚、ブラ
スターは動かない。スンの鋭い突きが放たれたその時、ブラスターが動きを見せ
る。スンの突き出された腕にブラスターの腕が絡まったと思った次の瞬間、スン
は地面に叩きつけられていた。攻撃する瞬間だけは身体を液体化できないことを、
ブラスターは見抜いたのだ。
 葵芭蕉の構えは防御に秀でた構え。特に、鑓などを持った敵に対する構えだ。
戦国時代から練られた武術だからこそ、この構えが存在する。腕を絡ませ、相手
の体勢を崩して倒したのだ。
 昔、桂蔵から教わった特殊な技の1つだった。
 「ガラ空きだぜぇっ!」
 仰向けに無防備に倒れたスンの腹部に右の拳を全力で打ちつける。右拳を支点
にスンへと爆発が起こり、近距離に居たブラスターは床から反射する爆風に吹き
上げられた。後方に飛びつつ、上手く態勢を作って地面に着地する。そして、顔
だけをスンの方へと向ける。
 スンはもうその場に居なかった。大きく開いた穴と、スンであったモノ…液体
のかけらがあちこちに飛び散っているだけだった。
 ブラスターはなんとか立ち上がると、改めてスンの居た場所を見る。
 「分からねぇな…分かりたくもねぇ」
 スンに対してか、それとも自分に対してか、ブラスターはつぶやいた。



 スンは武術を始めた頃から、兄弟子たちから酷い虐めを受けていたらしい。ス
ンはその間にどす黒い感情を心の奥で育たせ、後にザ・ナイトメアに関わってか
らは、復讐のため、兄弟子たちをザ・ナイトメアの実験の材料にしようと企んだ
…というのが今回の事件のあらましだと、蒼魔の忍が調べて教えてくれた。
 それにしても…と、純平は思う。
 誘拐された兄弟子たちは皆、あと一歩のところで実験を受けてはいなかった。
実験の準備が遅れていたのか、それとも…
 あの基地は忍がなんとかしてくれるらしい。純平は素直に従い、全て任せるこ
とにした。
 基地に居たザ・ナイトメアの関係者たちは、スンとの戦いの最中に全員逃げ出
していたらしい。
 (今回もなんとか生きて帰れそうだ)
 安堵して空を仰ぎ見る。空は青く冴えわたり、心を清々しくさせてくれた。
 視線を落として、地面に置いていた荷物を手に取り、背負う。今居るのは老師
の家の前だ。
 老師と弟子の兄妹が見送りのため、純平の目の前に立っている。
 純平は3人に頭を下げた。
 老師、シリョウ、メイレンも礼を返す。
 「本当にお世話になりました。皆さんに会えてよかったです」
 「人生全てが功夫。良き人生、良き功夫を」
 老師はにこやかに、言葉と共に書物を純平に渡した。受け取って書物を見る純
平に老師が言う。
 「私の流派の基本動作、型などを簡単に書いておきました。先日の弟子からの
教授と共に、少しはこれからの功夫の手助けになるでしょう」
 どうやら老師は、シリョウとの武術交流の場をどこかから見ていたようだ。
 純平は老師に深く頭を下げた。そして書物をしまうと、老師たちに背を向けて
ゆっくりと歩き出した。
 しかし、遠く背後から怒鳴り声が聞こえてきた。
 「アイツだ! あの男だ!」
 声に振り返ると、老師たちよりももっと遠くに3人の男の姿があった。老師た
ちも振り返る。
 「てめぇ、よくも、邪魔してくれたな! 仲間が捕まっちまったじゃねぇかっ」
 純平に敵意をむき出しにして近づいてくる。一瞬理解できなかったが、どうや
ら、屋台の時の引ったくり男の仲間のようだ。歳や格好がなんとなく似ている。
 純平は「やれやれ」と男たちの相手をしようとしたが、老師たちをかき分けて
行こうとした男3人の内2人が、シリョウとメイレンに腕などを捻られてあっと
いう間に地面に組み伏せられた。
 「な、なんだてめえら! ふざけ…」
 仲間たちの悲鳴にも似たうめき声に動転しつつもケンカの構えを取ろうとした
残り1人だったが、傍にいた老師の左手が少し動いたかと思うと、次の瞬間には、
膝から崩れて地面に倒れてしまった。意識はあり、痛みも感じていないようだっ
たが、身体が痺れて立つことができないようだ。
 呆気にとられる純平を、にこやかに笑いつつ見る老師。小さく手を振って見送
る。
 純平は我に帰り、笑ってもう一度頭を下げると、再び背中を見せて歩き出した。
 (とても良い人たちに会えた)
 『良い出会いと経験を得た』と心の中で喜ぶ純平だったが、反面、喜びきれな
い思いもあった。
 (…もし、人との出会いに恵まれていなければ……俺もあいつのようになった
のだろうか?)
 《俺と似たモノを感じたんだがな》
 スンの言った言葉が、純平には忘れられなかった。


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