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145 じゅらい亭日記CDマンボ的ー労働編ー
2003.6.29(日)23:20 - CDマンボ - 13452 hit(s)

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  水の中をまんぼうが泳いでいる。
多くの生物が共生する水の中で「彼女」が考えることは、
水の中を泳ぐこと。
太陽が明るいこと。
自分の周りの生き物達のこと。

そして、周囲の明るさは増していく…。


「本当にすみませんでした」
  風舞が何度も頭を下げている相手は、セブンスムーンの役人だ。またCDマンボがセブ
ンスムーンの堀に飛び込んでしまったのである。
彼女には自分がまんぼうであるという自覚はないが、川や海などを見ると無意識のうちに
飛び込んでしまうようなのだ。人間の状態でも完全にまんぼうから抜けきっているわけで
はないらしい。うみうさぎは賢い動物で、じゅらい亭に一匹で帰ってくる。そういうとき
はCDマンボが迷子になって帰れないか、堀に飛び込んだかなのだ。
  CDマンボの手を引いてじゅらい亭に戻った風舞は、ため息をついてしまった。
「はぁ…すぃーちゃん、何回言ったら分かるのかしら?セブンスムーンの堀に入っちゃ駄
目って言ったでしょ?」
  風舞はもう何度目かしれない台詞を言う。CDマンボは怒られてもにこにこしている。
「あ、風舞さん〜☆あのね、これあげる〜☆道端で拾ったんだよ〜☆」
そう言って、CDマンボはポケットから小さな紙を取り出す。表には蜂の絵が描いてあり、
裏には「ホーネットカード  力+1」と書いてある。
「…ありがとう、すぃーちゃん」
  あまりの間の抜けたCDマンボのペースに、風舞も毒気を抜かれてしまう。
頭を撫でてやると、ますます喜んでしまう始末だ。
  そして、やっぱりそこには三つのヒトデが残されるのである。


  7011年8月。セブンスムーンは四季のはっきりしている都市だ。夏は暑い。蝉が外でう
るさい鳴き声をあげている。
  CDマンボが五月にじゅらい亭に来てから、3ヶ月程経った。
  CDマンボに関しては時魚が一度徹底的に検査した。その結果分かった事は、彼女がま
んぼうの間は人間の体は成長せず、その逆もまた然りであるということ。そして、精神的
な成熟度は体の成長よりも遅れていること。まんぼうの状態の彼女は、物理的に頑丈なの
ではなく、魔力的な保護で自身に対する攻撃を中和しているらしいこと。
「で、結局すぃーちゃんは何なの?」
  という風舞の問いに対しては、
「それが分かったら最初に教えるわよ(笑)」
との返答だった。
  周囲の人間は口を酸っぱくして彼女に水に入ると自分がまんぼうになっている事実を伝
えたが、彼女は理解できないようだった。


「おはようございます〜☆」
  午前6時。子供の朝は早い。もちろん看板娘達はもっと早い。彼女の一日は、じゅらい
亭の入り口を箒で掃くことから始まる。
  うみうさぎを頭に乗せたCDマンボは自分の背よりも長い箒を掴み、入り口へぴょこぴ
ょこと移動する。そして、体全体を使いながら玄関を掃いていく。箒で掃いているのか箒
から掃かれているのか。
  6時半になるとじゅらいと月夜が玄関に下りてきた。じゅらいはラジオを手に持ってい
る。
「すぃー殿、おはよう。毎日ご苦労様なりよ」
「すぃーちゃん、おはよう〜」
「じゅらさん、つくよん、おはよう〜☆」
  この時期この親子はラジオ体操が日課である。じゅらいがぽちっとラジオのスイッチを
入れると、クレインや眠兎には聞き覚えのある曲が聞こえてくる。
「さぁ腕を前から大きく上げて、のびのびと背伸びの運動から〜」
  月夜とじゅらいはシンクロしながら曲に合わせて体操をしている。自然CDマンボも二
人の動きと一緒になっていたりする。しかし箒は持ったままなので、上半身が中途半端に
揺れているだけだ。それでも頭のうみうさぎは落ちたりはしない。
  じゅらいと月夜が体操を終える頃には、CDマンボのじゅらい亭の入り口の掃除もなん
とか終わっている。
「じゅらさん、つくよん、また後でね〜☆」
「仕事に励んでくだされよー」
「またね〜」
「むぅ」
  じゅらいは微笑ましくCDマンボを見送り、月夜は大きく手を振る。CDマンボも箒を
持ってない方の手で大きく二人に手を振りながら、じゅらい亭の中に入っていく。
  そして、CDマンボとうみうさぎは台所スタッフ達の作った朝食にありつくのである。


ぽてぽてぽてぽて。
きゅっきゅっきゅっきゅっきゅっ。
ぽてぽてぽてぽて。
きゅっきゅっきゅっきゅっきゅっ。

 じゅらい亭2階の廊下、CDマンボが窓を磨く音である。窓を拭くその顔には笑顔、ヒ
トデもそこらじゅうに落ちているのを見ると、心の底から楽しんでいるのが分かる。一つ
の窓を拭き終わると、次の窓まで踏み台を持って移動する。

ぽてぽてぽてぽて。
きゅっきゅっきゅっきゅっきゅっ。

 CDマンボは一つ一つの窓を一生懸命拭き、窓が一つ一つ綺麗になっていく。彼女はそ
れが楽しくてたまらないらしい。
  やがて2階の廊下の窓は全て拭き終わった。
「悠之さん、窓全部拭き終わったよ〜☆」
 雑巾を片手に悠之の方へ走っていく。
「すぃーちゃん、落としたヒトデは全部拾ってね」
「あ、はーい☆」
 言われた通りに2階のヒトデを全部拾った。
「悠之さん、あとは何をすれば良い?」
 CDマンボが目をきらきらさせて問う。今日はじゅらい亭の中の掃除は大方終了した。
お昼までにはまだ少しだけ時間がある。悠之は少し答えに困ってしまった。
「あ、そうだ。花瓶さんがまだ帰ってきてないの。迎えに行ってくれるかな?」
 花瓶は朝どこかへ出かけたきり、まだ帰ってきていないのである。どこかで割れている
かもしれない。
「うん、分かった〜☆」
 元気にそう返事をして、CDマンボは雑巾を片付けに行った。悠之は微笑みながら最後
のヒトデを拾った。


  花瓶の行く先はあまり決まっていないのだが、何箇所かよく行く場所がある。
CDマンボが最初に向かった先は大家のアパートだ。ここは数少ない彼女が一人で行ける
場所なのである。
  大家のアパートの大家の部屋の前に立つ。数回ノックすると大家本人が出てきた。
「おや、Cさん、こんにちは」
  大家は女性的な微笑を浮かべつつCDマンボに挨拶した。CDマンボもぺこりとおじぎ
をして挨拶する。
「大家さん、こんにちわ〜☆花瓶さんは居ますか?」
  聞かれなくてもCDマンボがここに来る用件は毎日一緒なので分かっている。そして、
答えも大方同じなのである。
「いつもの部屋に居ますよ」
  そう言って案内する部屋は、かつてこのはが借りていた部屋だ。もうここ何年もずっと
空き部屋になっている。そして、花瓶はこのはが居た時期からずっと、ここから水差しの
ミリさんを眺めるのがお気に入りなのである。
  CDマンボは花瓶が立っている窓枠に近づく。
「花瓶さん、ミリさんは今日も元気?」
「んー。やっぱりミリさんって見飽きないっすね〜」
  花瓶はミリさんに見入っている。CDマンボはそれでも満足したのか、窓の側に備え付
けてあるベッドに腰掛けた。
「花瓶さんはミリさんのこと大好きなのに、どうして会いに行かないのかなぁ?」
  返答を期待したわけではなかった。しかし花瓶はその言葉が聞こえたらしい。
「そ、そ、そんな会いに行くだなんて…む、む、無理っっすー」
  言いながらごろごろと転がり、狭い窓枠から落ちてしまった。陶器の割れる音がアパー
ト中に響いた。驚いたのはCDマンボの方だ。
「か、花瓶さん、どしたの?」
  ばらばらに広がる花瓶の破片の前でCDマンボはおろおろする。音を聞きつけて大家が
部屋に入ってきた。CDマンボに尋ねるまでもなく割れた花瓶に気がつく。これも毎日の
ようにあることなので全く取り乱しもしない。自分の部屋まで一度戻ると、小さな麻の袋
を持って戻ってきた。
「Cさん、そんなに心配しないで」
  大家は花瓶の破片を拾いながらCDマンボを宥める。CDマンボも涙ぐみながら花瓶の
破片を集めるのを手伝った。大家は集めた破片を麻袋に入れていく。
「あ、あれ、大家、まさかそれはっ」
  大家は花瓶が慌てても全く取り合わずに破片を麻袋に全て入れ終えた。大家は麻袋を容
赦なく振る。
「ぎゃーーーーーーーーーっ」
  花瓶の絶叫が部屋に響き渡った。

  30秒後。

  麻袋から出てきたのは完全に元に戻った花瓶だった。しかし本人(?)は目を回してい
る。
「わぁ、大家さんすごい〜☆」
  CDマンボは花瓶が元の形に戻ったので嬉しそうだ。
「さぁ、そろそろお昼ですよ」
  大家は花瓶を手渡した。
「はーい☆大家さん、ありがとう☆じゅらい亭に帰るね〜☆」
  CDマンボは花瓶を大切そうに両手に抱えて大家のアパートから出た。大家も小さく手
を振って見送る。
  そしてCDマンボが最後に飛ばしたヒトデが、大家の頭に刺さった。大家は表情一つ変
えない。頭から流れる血は足元に黒い染みを作り出している。
  でも大丈夫。大家さんは元大道芸人だから。


  CDマンボは花瓶さんを大切に抱えて歩いている。しかし歩いている効果音は「ぽてぽ
て」であるため、かなり危なっかしく見える。実際彼女は普通に歩いていてもよくこける。
むしろ一度もこけずにじゅらい亭に帰れたことは一度も無い。だから花瓶はしっかり抱え
られていても不安で仕方ない。
  と、彼女が急にしゃがみこんだ。どうやら足元に何か見つけたようだ。
「犬さんの絵だ〜☆」
  犬の絵が書いてあるカードのようだ。絵を嬉しそうに見てはいるが、裏の説明を読もう
とはしていない。
「花瓶さん、絵を拾ったよ〜☆」
 花瓶はCDマンボが急にしゃがみこんだ時に手から離れ、少し転がって横たわっていた。
幸いにして割れてはいない。
「すぃー、こっちっすよー」
  CDマンボは花瓶を大事に抱え上げた。
「じゃぁ、じゅらい亭に帰ろう〜☆」
「はいっすー」
  CDマンボはもう一度だけ、「帰る」という言葉を口の中で呟いた。この言葉を呟くと、
不思議と胸が暖かくなるのだった。
  今の彼女には、「帰る」場所があるのである。


  じゅらい亭に帰るとCDマンボとうみうさぎは昼食をとる。CDマンボの昼食は他のじ
ゅらい亭スタッフと同じメニューで、今日はスパゲッティーミートソース、うみうさぎの
餌はワカメである。
「あ、すぃーちゃん、食べ終わったら時音姉さんが洗濯物取り込みたいって言ってたわ」
「あ、はーい☆」
  うみうさぎは既に昼食を食べ終えてCDマンボの肩に乗ってきた。CDマンボも少し急
いでスパゲッティーミートソースを食べようとしたが、フォークにパスタを巻き過ぎて口
に入らなかった。それを見た風舞がくすりと笑いをこぼす。
「急がなくて良いわよ(笑)」
  ここに来たばかりのときはフォークもあまり上手く使えなかった。そのときから見れば
かなり上達したのだ。
  CDマンボは少しずつパスタを絡ませながら、ゆっくりと食べ終えた。

  
  じゅらい亭はセブンスムーンの住民から恐れられてはいるが宿泊する冒険者は絶えず、
2階から上の宿泊部屋はあまり空きが無い。よって毎日の洗濯はかなりの量になる。
「よいしょ、よいしょ」  
  CDマンボは洗濯して乾いたベッドのシーツを10枚一度に持とうとして必死だ。持てば
持ったで彼女の視界は塞がれてしまう。うみうさぎはシーツの一番上にちょこんと乗って
いる。CDマンボは大体の見当をつけてよろよろしながら歩き、なんとかカバーを荷台の
箱の中に入れることが出来た。終わるとまた元の場所に戻ってまた10枚抱える。時音はそ
れ以上のスピードでどんどんシーツを畳んでいる。シーツを畳み終わると次は宿泊してい
る冒険者達の出した洗濯物を分別しつつ畳む。CDマンボが全てのシーツを荷台に運ぶ頃
には、双方の作業は終了していた。
「じゃぁ、シーツと洗濯物を部屋に配りましょうね」
「はーい☆」
  荷台に手をかけたCDマンボは、ポケットに入っているものを思い出した。
「あ、時音さん、これあげる〜☆」
  そう言ってCDマンボは時音に先ほど拾ったカードを手渡した。表には子犬が三匹描か
れている。時音が裏を返すと、「子デザートウルフカード  知性+1」と書いてある。
「すぃーちゃん、これ、何かしら?」
「子犬さんの絵だよ〜☆」
「いや、そうじゃなくて、この裏に書いてあるのは?」
「裏?」
  CDマンボは首を傾げた。時音も同じように首を傾げた。どうにも会話がかみ合わない。
不意に時音はその原因に気付いてはっとした。
「すぃーちゃん、あなた、文字が読めないの?」
「あ、うん、あーし文字は読めないよ〜☆あ、これ文字なんや〜☆」
  そう言ってCDマンボはカードの裏をしげしげと眺めた。今までそれは彼女にとってた
だの模様でしかなかったのだ。
  時音は今までどうして気付かなかったのかと思ったが、無理もない。CDマンボには文
字を読むことが必要な作業はさせていなかったし、じゅらい亭の酒場でも彼女にはその必
要はなかったのだ。セブンスムーンの識字率がほぼ100%であることもあり、彼女も当然文
字が読めるものと思っていたのだ。
  しかし、そうと分かった時音の対処も早かった。
「そうなの。じゃぁ文字のお勉強しましょうね」
  CDマンボの部屋に時音手作りの「あいうえお表」なる物が貼られたのには、こんな経
緯があった。


「ねぇねぇ時音さん、これはなんていう字?」
  CDマンボは中庭で再び回収した洗濯物を洗う時音の裾を引く。時音は振り返ってCD
マンボの持っている本を覗き込む。
「これは『さ』よ」
「さ」
  CDマンボは何度も口の中で繰り返す。再び本を抱え込みながら本の続きを必死で読む
が、何文字もいかないうちにまた時音の方を向いた。
「時音さん、これは?」
「それは『ま』」
  時音は何度質問されても決して腹を立てるような事はしない。同じ文字を聞かれても何
度でも答える。言葉を覚えるには、反復が最も効果的ということを知っているからだ。
  CDマンボは本を離さなくなってしまった。
「文字面白いね〜☆」
  まだ半分ほどしか覚えていないし、一冊どころか一頁読むのに一時間以上かかっている。
それでも彼女は夢中になって本を読んでいる。
「すぐ本が読めるようになるわよ。さ、洗濯物を干しましょう」
  こんなことに付き合えるのは時音くらいのものであろう。彼女は教えながらもきちんと
仕事もさせている。
「はーい☆」
  CDマンボも自分のやるべきことをきちんと把握しているようだ。元気に手を上げて仕
事に戻る。
  洗濯物を干し終わると、とりあえず夕方までCDマンボの仕事はなくなってしまう。C
Dマンボは昼寝をしても構わないし、じゅらい亭の酒場で遊んでもよくなる。彼女はこの
時間を文字の勉強に費やすようになった。にこにこしながら平仮名の書き取りをして、時
音のところにもっていく。時音はそれを一つ一つ訂正してCDマンボに教えた。


  夕方4時半になるとCDマンボには風呂の掃除が待っている。じゅらい亭には温泉と大
浴場の二つの浴場があり、夕方6時から朝10時まで冒険者が浴場に入れるようになってい
る。
  4時半の大浴場はまだ浴槽が空だ。CDマンボはこれまた自分と同じくらいの背のデッ
キブラシを持って浴槽を走り回る。うみうさぎは石鹸の上に乗って浴場を滑っている。
  当然何度も転ぶわけだが、転んでも転んでもCDマンボは何度でも起き上がって浴槽を
走り回る。浴槽が終わると、うみうさぎが石鹸を付けた浴場をまたデッキブラシで走り回
るのである。こちらでも何度でも転んで回る。
「悠之さん、お掃除終わったよ〜☆」
  CDマンボは体中に泡を付けたまま報告に行く。悠之はCDマンボと共に大浴場に赴き、
浴場と浴槽の泡を流した後、浴槽に湯を入れる。浴槽に湯を入れる間に、CDマンボは石
鹸やたらいを綺麗に並べていく。並べ終わると今度は温泉の掃除になるわけだが、こちら
は温泉なだけに湯は常に沸いている。
「すぃーちゃん、浴槽に落ちないようにね」
  悠之は一応注意する。
「はーい☆」
  CDマンボは毎日元気に返事をしてデッキブラシを右手に、うみうさぎを頭に乗せてぱ
たぱたと温泉の方に移動していく。

  どぼーん

  この音が聞こえると、悠之は毎日のことでも思わずため息をついてしまう。温泉に行く
とやはり温泉の中にまんぼうが浮いている。温泉の縁にはうみうさぎがちょこんと立って
いた。
「むぅ」
「うん、分かってるんだけどね…」
  悠之は人を呼んでまんぼうの引上げ作業をするはめになる。


  CDマンボは夜になるともう酒場でのんびり過ごしていいことになっている。3時間か
かって人間に戻った彼女は寝るまでの時間を酒場で過ごす。カウンターの端っこにある少
し背の高い椅子は、背の低いCDマンボのために時魚が特別に作ったものだ。
  CDマンボは疲れているのか、はたまた3時間空気中にまんぼうの姿で居たことで消耗
しているのか、この特別席に座るとすぐに眠りこけてしまう。
「働いている間は嵐みたいだけど…こういう子に限って寝顔は安らかね」
  風舞は眠りこけた彼女の顔を覗き込んで微笑した。うみうさぎもCDマンボの傍らで丸
くなっている。じゅらいが空になったジョッキと新たな冒険者達の注文を風舞に渡した。
「そっか、すぃー殿が文字をねぇ」
「勉強も遊びみたいにやってるらしくって、どんどん覚えていくって時音姉さんも言って
たわ」
  会話しながらも風舞は手早く注文の酒を作っている。ほのぼのしているじゅらいには、
すぐ隣の風舞の目の色が少し変わったのが分からなかった。
「ところでじゅらい君、マトリックスリローデッド面白かった?」
「うん、そりゃもう。やっぱりエンドロールは最後まで見ないといけないよ…ってあれ?
風舞、なんでそれを知って…」
「昨日の売上が、ちょうど映画の大人1枚と子供1枚分計算が合わないの。どうしてかし
らねぇ?」
  顔は先程と全く変わらない笑顔だが、目が笑っていない。じゅらいは慌てた。
「いや、風舞、話せば分かるよ」
  最早風舞の方に話し合いの余地は無かった。
「天誅っ!!」

  びしっ。

「ぐはっ」
  じゅらいが額を抑えて悶絶する。
「か、風舞…心なしかパワフルになったような…」
  でこぴんされたおでこに手を当てて、じゅらいがふらふらとよろめいた。
「あら、気のせいじゃない?」
  その手にはしっかりとホーネットカードが握られていたりした。

  決して静かではないじゅらい亭の夜はふけていく。

                                                                        Fin.


〔ツリー構成〕

[76] CDマンボ 2002.8.17(土)01:32 CDマンボ (206)
・[77] 短編「じゅらい亭日記CDマンボ的ー帰還編ー」 2002.8.17(土)01:42 CDマンボ (16955)
・[78] 感想みたいなもの 2002.8.17(土)17:29 モリリン (514)
・[81] re(1):感想みたいなもの 2002.8.17(土)21:01 CDマンボ (303)
・[79] 感想:短編「じゅらい亭日記CDマンボ的ー帰還編ー」 2002.8.17(土)19:24 藤原眠兎 (977)
・[82] re(1):感想:短編「じゅらい亭日記CDマンボ的ー帰還編ー」 2002.8.17(土)21:20 CDマンボ (1009)
・[80] ちょっと遅いですがあとがき。 2002.8.17(土)20:48 CDマンボ (891)
・[83] 感想〜♪ 2002.8.19(月)23:16 ゲンキ (288)
・[89] re:感想〜♪ 2002.8.22(木)23:49 CDマンボ (522)
・[145] じゅらい亭日記CDマンボ的ー労働編ー 2003.6.29(日)23:20 CDマンボ (14997)
・[146] あぅち 2003.6.29(日)23:24 CDマンボ (333)
・[159] 感想:じゅらい亭日記CDマンボ的ー労働編ー 2003.7.8(火)11:01 藤原 眠兎 (285)
・[163] どもです〜☆ 2003.11.20(木)23:24 CDマンボ (318)
・[162] たまに読み返すのよ 2003.11.18(火)07:33 じゅらい (450)
・[164] あわわ 2003.11.20(木)23:36 CDマンボ (486)
・[179] 短編「じゅらい亭日記CDマンボ的ー年末編ー」 2003.12.29(月)06:29 CDマンボ (36374)
・[180] 今回の教訓 2003.12.29(月)06:36 CDマンボ (375)
・[181] 今年最初の感想 2004.1.1(木)01:12 ゲンキ (373)
・[183] 今年最初のお返事 2004.1.6(火)18:52 CDマンボ (276)
・[182] いやあ、ご苦労様です。 2004.1.2(金)10:42 じゅんぺい (286)
・[184] いえいえ、感想感謝です〜☆ 2004.1.6(火)18:55 CDマンボ (360)
・[185] 読了〜♪ 2004.1.8(木)16:54 カイオ (438)
・[186] 感無量〜☆ 2004.1.15(木)22:29 CDマンボ (298)
・[193] 短編「じゅらい亭日記CDマンボ的水走編」 2005.2.15(火)22:44 CDマンボ (20455)
・[194] あとがき 2005.2.15(火)22:49 CDマンボ (196)
・[195] 感想 2005.3.9(水)16:36 ゲンキ (153)
・[196] どうもです〜☆ 2005.3.11(金)16:40 CDマンボ (116)
・[208] 短編「じゅらい亭日記CDマンボ的ー贈物編ー」 2006.1.14(土)18:09 CDマンボ (22962)
・[209] あとがき 2006.1.14(土)18:15 CDマンボ (224)
・[210] 読みました! 2006.1.15(日)14:30 じゅんぺい (277)
・[211] ありがとうございます〜☆ 2006.1.15(日)19:00 CDマンボ (164)
・[212] 感想 2006.1.16(月)09:37 藤原眠兎 (317)
・[213] ありがとうございます 2006.1.18(水)17:39 CDマンボ (191)
・[214] 拝読しました 2006.1.23(月)16:38 ゲンキ (154)
・[215] ありがとうございます。 2006.1.31(火)11:55 CDマンボ (218)

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