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134 電波大系ジュラハザード第5話
2003.5.20(火)18:29 - ゲンキ - 3024 hit(s)

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第四話『白い飛竜』



 積み重なった大量の雪の、その表層が崩れて斜面を滑り落ちていく。
 数十トンもの衝撃を受ける『山の津波』だが、彼等ならどうということもなく生き延び
るだろう。なにせ彼等は──

「電波の後継者、だから」

 コストグラウンドに眠っていた「かぐや」と呼ばれる異星の姫は、自身の持つ「空想具
現化」という特異能力を、知らず知らず他人に分け与えていた。そうして生まれたのがマ
ルター使いと呼ばれる者達。
 その、マルター使い達をことごとく蹴散らし、侵入不可能なはずのコストグラウンド中
心部に達した四人の冒険者。マルター能力の源である「姫」を眠りから覚まし、連れ出す
ことが出来たのは偶然ではない。

 電波と呼ばれる、空想を力に変えるもう一つの才能。

 それが無敵であるはずのマルター能力に打ち勝った理由。かぐやのエネルギーが充満し
ていたコストグラウンドの中で、彼等をマルター使いにはさせなかった原因。

「電波……」

 フラッグが立てられた山頂に、ただ一人ぽつんと佇みながら、少女はつぶやく。雪より
白い髪と肌。千年泣き明かしたかのような真っ赤な瞳。それが見下ろす先で、当然のよう
に黄金の光が大量の雪を吹き払った。
 少し手間がかかったが、ようやく彼等を一箇所に集めることが出来た。まだ全員ではな
いようだけれど、残りの者達も今の音を聞きつけて集まってくるだろう。

「もうすぐ会えるよ……、──ちゃん」

 高く遠く、澄んだ青空を見上げて、彼女は微笑んだ。



 雪崩に押しつぶされた山小屋。
 押しつぶした雪の一部分が、突然はじけ飛ぶ。
「みのりちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあんっ!!?」
 雪の中から飛び起きるなり、眠兎は愛しい人の姿を探した。
 そして幸い、みのりは彼のすぐ側にいた。ていうかずっと抱きしめていた。
「ここにいるわ、眠兎くん」
「ああっ、みのりちゃん!?」
 そして互いにさらにぎゅーっと熱い抱擁。しかもそれで熱が入ってしまったのか、眠兎
はみのりの顔に唇を近づけ──

「はっ?!」

 寸前で、じっと二人を見ているダチョウとサングラスの存在に気がついた。すぐ横の雪
の中から、顔だけ出してニヤニヤしている。
「ゲ、ゲンキさんに幾弥さん!? いつからそこにっ!!?」
「いやあ、なんていうか最初から」
「ええもん見せてもらいましたなー、ささっ、気にせず続きをどうぞ」
「な、なんの続きですっ!!」
 なんのって、それは言わずもがなでしょう……という表情で顔を見合わせる幾弥とゲン
キ。顔を真っ赤にしているみのりを自分の背中で庇いながら、とりあえず眠兎は彼女とも
ども雪の上に出た。

 と──

「おおっ、眠兎殿〜〜〜〜〜!!」
「みのりさーーーん!!」
 斜面の上の方から、誰かを抱えたじゅらいと、気絶したクレインの足を掴んで引きずり
回しているルネアの二人が降りてきた。さらにその向こうからは、何故か白い布で自分を
隠しながら近づいてくる忍者の姿と相方の小妖精。
「あいやー、今の雪崩で皆ここに集まって来ちゃったみたいですねえ、ナイス偶然」
 ゲンキが、のんきな顔でそんなことを言った。
 しかし眠兎の背後で、みのりは考える。これは本当に偶然なのだろうか?
「なんだろう……」
 さっきまでは感じなかった(眠兎といちゃいちゃしていて気づかなかっただけかもしれ
ない)強い意思の流れを、彼女は感じ取っていた。このタテヤマ山全体を覆い尽くそうと
する、何者かの意思。

 そして──

「な、なによあれっ?!」
『ヒィィィイイッ!! また出たああああああああああああっ』

 ルネアが空を指差し、ゲンキと幾弥が悲鳴を上げた。真っ青な空を真っ白に染め上げる
白い飛竜の大群。ホワイトワイバーンと呼ばれる空の王者。
「なんて数……っ!!」
 さすがのみのりも驚いた。世界中から彼等がこの地に集結しつつあるとは聞いていたけ
れど、これほどの数だとは思ってもいなかったのだ。
「一体、何が起きているの……?」






 ──と、せっかく彼女が緊迫してみせているというのに、他の面々はほほんと。

「白、白、白……どこを見渡しても白だらけでござるな」
「何か意味があるんですかね?」
「はっはっはっ、多分スカ○ー波を拡散させるとかですよ」
「おおっ、それでござるな」
「もしかして僕達の魔力とか特殊能力が封じられてたりして」
「えー、まっさかあ」

 じゅらい大笑い。迷わずハンマーコネクト。
 そのままゲンキに突っ込みを入れようとして──空振り。

『あれ?』

 ハンマーは、現れていなかった。


                                 思いつきで続く


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